「コリカンチャ」建造の秘密を解く石
館内にはこれまで展示されていなかった貴重な発掘物が展示されていた。
それらは、近年、コリカンチャに隣接する外庭から出土したもので、どれも建物やその造作に使われたものと思われる石である。
穴が開いたもの、「かすがい」を掛けるための溝が掘られたもの、凹凸が刻まれた石などである。どれもが、コリカンチャを造った人々(インカ人ではない)の持っていたテクノロジーの高さを物語っている。
中でも際だっているの(写真2)の丸い穴が開けられた石である。高さが40センチ奥行き20センチほどの石には、ワロ博物館で見たのと同じ真円に近い円筒形の穴が彫り抜かれている。
石は花崗岩だと思われるが、相当硬い石だけにノミで彫り抜いたとは考えにくい。穴の内側のなめらかさを考えるとましておやである。
1950年代の地震によって崩壊したコリカンチャの姿を写した貴重な写真のコピーを手に入れることが出来た。「写真7,8」がそれである。外壁下段の石壁と窓のある部屋の石壁、それに円弧状のアーチ、それらが三度の大地震でびくともしなかったことがよくわかる。
現在、このアーチは存在していないのでどのようなものであったのかわからないが、安定感に欠ける円弧状のアーチが地震に耐えたことは、高度な科学的知識とテクノロジーの存在を如実に物語っている。