サンペドロへ出発
クスコでの遺跡探索の合間をぬって、野鳥の宝庫として知られるサンペドロ国立公園を訪ねることにした。
クスコから車でおよそ7時間。貴重な時間を無駄にしないよう、深夜の2時に主発。またもや夜のアンデス越えと相成った。
12月のペルーは夏、しかし、夜のアンデスはことのほか寒い。富士山より遙かに高い山頂付近ともなればなおさらである。エアコンの効かない車の中、用意したアノラックに入り、ひたすら時間の経つのを待つ。
なぜ暖房をつけないのかと疑問に思われる向きもあろうが、ペルーでは、個人にしろ会社にしろそのほとんどが日本などから輸入した相当年代物の中古車を利用している。そのせいか、ほとんどの車がエアコンが使えないのだ。
そのため、リマからイカなどへ移動する際に利用するレンタカー以外、私の乗る車にエアコンがついていたためしがない。もちろんコストに目をつむれば快適な車を利用することも出来るが、そんなことをしていたらすぐに財布が空っぽになってしまう。
アンデス越えの難儀は寒さだけではない。道の悪さも長旅にはこたえる。うとうとすると、すぐに激しい揺れが目を醒まされ、ゆっくり休むことが出来ない。ハンドルを切りそこなえば千尋の谷の随所にあり、運転手は大変だが同乗者も楽ではない。
ライトに照らされた道の先を見慣れぬ小動物が横切る。助手席に乗っている私は思わず足を踏ん張るが、運転手はお構いなく車を走らせ続ける。気の休まらぬままに走ること、およそ3時間半、山頂付近でしばらく休憩をとる。
夜明けまではまだしばらく時間がありそうだ。昼なら、4000メートルの山頂からの眺めは絶景だが、この時間ではどうにもならない。コーヒーで暖をとりながらうっすらと浮かび上がる月明かりのアンデスを眺める。
6時過ぎ、ようやく雨の上がったアンデスの景色が輝きはじめた。見慣れた景色だが、幾度見ても飽きることのない眺めがつづく。所々で車を止めて展望を楽しみ、シャッターを切る。目的地まではまだ2〜3時間はかかりそうだ。
数回に分けて、サンペドロ国立公園の野鳥と蝶、それに道中のスナップ写真を掲載することにする。不思議探索はそのあとのお楽しみだ。