第6日目
ロッジの一角に立つている艶やかな橙色の花が咲いた大木には、1メートルを超す長細い鳥の巣がいくつかぶら下がっている。植物繊維を巧みに編んで作った巣だという。しばらく眺めていると、巣の中に鳥が出入りしている。急いでカメラを用意し撮影することにした。
(写真@、A)
どうやら鳥は「セアカ・オオツ・リスドリ」のようだ。学校を造るためにジャングル訪れた時、よく見かけた鳥なので、その姿を覚えていた。
巣の様子をよく見ると、細長い袋状になっていて、入り口は上部の側面にあるようだ。この時間帯に頻繁に出入りするのは卵を暖めているからだろうか? 餌をくわえていないところを見ると、ヒナが孵(かえ)っているわけではなさそうだ。
それにしても枝からぶら下がった危なげな巣に、雛(ヒナ)や親鳥が入ってもよく落ちないものである。
巣に入ったあと、巣から顔を出した瞬間を撮ろうと、カメラから手を離さず待ちかまえていると、その間容赦なく蚊(か)の大群が襲いかかる。お陰で、数枚の写真を撮り終わった
頃には、顔は月のクレーターのようにボコボコになっていた。
夕方まで時間があるので、ロッジの周辺で野鳥を探そうかと考えていると、セサルがこのロッジのオーナーが近くにある湖に案内すると伝えにきた。聞いてみると、その湖には
ロッジの泊まり客専用のカタマラン船が一艘用意されており、それに乗ると、たくさんの野鳥を観察することが出来るという。
願ってもない話なので早速案内してもらうことにした。船中でオーナーから話を聞くと、湖の近くには20メートルを超す展望台も用意されているが、カタマラン船も展望台もまだ出来たばかり
なので、観光客には使わせてないのだという。
どうやら我々が最初の利用客ということになるようだ。マヌー川を船で15分ほど下って上陸し、10分ほど歩くと展望台に着いた。展望台の塔は、電力会社の鉄塔のような造りで相当高そうである。オーナーは上段まで登れば、湖やその周辺が一望できるという。
登ってみようかと思ったが時間が4時を過ぎていたので、今回はあきらめて、湖に向かうことにした。5分ほど歩くと、突然目の前が開けて湖がが見えてきた。昨日のコチャ・サルヴァドール湖
よりは、やや小さそうだが、野鳥が群生していそうな雰囲気である。
オーナーの言う通り、桟橋もカタマラン船もまだ新しく、使い初めであることは確かなようだ。ロッジのカタログ用のモデル写真に収まったあと、船を出した。
思った通り、岸辺の木々に止まる野鳥は種類が多く、1時間ほどの短い時間であったが、珍しい野鳥の姿を何枚か撮ることが出来た。時間をかければもっとたくさんの鳥が撮れそうだ。
しかし、暗闇のジャングルを歩くのは危険なので、後ろ髪を引かれる思いで下船し、ロッジに戻ることにした。