第4日目

 今日は朝から快晴、本日の目的地はカサ・マチゲンガ(Casa-machiguenga)、昨日給油したボカ・マヌーへ戻り、そこからマヌー川(Rio Manu)を源流へとさかのぼる。チャロからの距離は昨日とほぼ同じ 90キロメートルほどだが、上流へと向かうため時間はさらにかかりそうだ。(「マヌー(MANU)の地図」参照)

これから先マヌー川流域は「Reserved-Zone」(特別保留地)で、人間が定住したり商業活動することが禁じられているため、アボリジニーと呼ばれる原住民以外、人が住んでいない。

1時間ほどして、リモナル(Limonal)に着いた。そこには国立公園を管理する管理事務所があり、上り下りの船はすべてここでチェックを受ける ことになっている。

動植物の保護のため、魚の網や銃砲などの持ち物がチェックされるだけでなく、カサ・マチレンガにある三日月湖のカタマラン船(双塔船)に乗る時間の予約も行っている。

 

   リモナル(Limonal)管理事務所

  事務所の所長からマヌー国立公園の説明を受ける

 

ここから目的地まで7〜8時間の船旅が続く。沿岸には色鮮やかな木々が 林立し目を楽しませてくれる。目をマヌー川に向けると、体長5メートルもある黒ワニ(Black Caiman)がプカプカと浅瀬に浮き、中洲には小型の白ワニ(White Caiman)が気持ちよさそうに甲羅干しをしている。

しばらく進むと、砂洲で寝そべっていたイノシシによく似た動物が水浴びに川の中に入っていく。初めて見る動物だ。ガイドに聞くと、「カピバラ」(Capybara) だという。それより小さくてネズミの親分のような動物も川の中を歩いている。これはAgouti-Pacaという名前だそうだ。

赤と黒のカラフルなクチバシをつけたアジサシが集団で砂浜を歩いている。その近くの砂州には体全体が砂色をした「スナイロ・アメリカ・ヨタカ」(Sand-colored Nighthawk)と呼ばれる鳥が集団で卵を孵している。
 

 

 

マヌ川両岸に熱帯雨林が広がる @

A

手持ちの400ミリで、
岸辺の動物を追う


White Caiman
(シロワニ)

Cocoi Heron
(ナンベイアオサギ)
 

 

 

Agouti Paca

 

世界最大のネズミ
Capybara
(カピバラ)

Yellow-side Necked Tortoise

White Caiman
(シロワニ)

 
Capybara
(カピバラ)

ネズミやリスなど鋭い歯を持った動物を齧歯類(げっしるい)と呼ぶが、カピバラはその類の中で世界で最も大きな動物で、その体重は65sにも達するものもある。 それにしてもテンジクネズミ(モルモット Guinea-pig)の親戚だというのに、人間並みの体重には驚ろかされる。

カピバラの肉はインディオや開拓者に珍重されるため、本来は昼行性であるにもかかわらず、ハンティングが盛んなエリアでは夜行性になっている。しかし、マヌー川領域は禁漁区 であるから、こうして昼間彼らの姿を見ることができるのだ。

水棲、半水生植物を常食としているため、彼らは湿地帯環境に適合し、足には水かき状の膜が着いている。マヌーの熱帯雨林の中では 、6頭からなる2つのグループで移動するが、川では1頭で歩いている姿を見かけることが多かった。ハンティングから保護された彼らの一番の捕獲者はジャガーである という。

 

 


Black Caiman
(クロワニ)
 


Orinoco Goose
(オリノコガン)
 

 


Pied Lapwing
or
Andean Lapwing
(アンデスツメバゲリ)
 

 


Sand-colored
Nighthawk
(スナイロアメリカヨタカ)
 

Black Skimmer
(クロハサミアジサシ)

White-winged Swallow
(ハジロミドリツバメ)

Black  Vulture
(クロコンドル)

 
Sand-colored Nighthawk
(スナイロ・アメリカ・ヨタカ)

ヨタカの巣は河口の砂州の上に小さな穴を掘っただけである。乾期にそこに2個の卵を産み抱卵する。 そのため抱卵中の親鳥や孵ったばかりのヒナは猛禽類などの外敵からはまったく無防備の状態である。

しかし、親鳥もヒナもみな体全体が砂色の見事な保護色をしており、特にヒナは近くに寄らないと、その姿を見出すことが出来ないほどである。自然の配慮には驚かされる。


 

(『MANU Parque Nacional』から転載)


1日の大半を川岸の倒木の上や砂州でじっとしていて、日没直前に現れて飛び交う虫を捕って食べる。
 


2羽のヒナが砂の中で身動き一つせず、
天敵から身を隠して、餌を待っている。