さて、ここでクエッションです。ここに写っているインディオの少
年は、私たちが乗るバスが動き出すのを今は遅しと待っていま
す。この少年はこれからどんな行動をとるのでしょうか?
テレビの人気番組、「世界ふしぎ発見」の問題に採用されそう
なクエッションである。さてその答えは!
バスのスタートにあわせて、少年は千尋の谷を一気に駆け下り
だした。どうやらこの少年は、ふもとの駅に向かって、真一文字
に500mの崖を駆け下ろうとしているようである。それも、我々
の乗っているバスと競争しながである。
カーブを曲がってしばらく走ると,先刻、バスに追い抜かれた
少年の姿が、決まってそこにあった。その度に、バスの乗客か
ら歓声と拍手が起きる。こんなことが何度か繰り返されているう
ちに、まさかと思われるだろうが、なんと終点には少年が先に
着いて手を振って待っているではないか。
バスは、いろは坂をくねくね曲がるが、少年は一直線に下るか
ら出来る早業であっ
たが、それにしても息も切らずに平然としている少年を見ると
驚かざるをえない。もちろん最後に、チップをねだったことは
言うまでもないが。
インカ帝国時代、キープ(結節縄)を持って走ったチャスキと
呼ばれる飛脚は、1000キロを3日間で走ったと言われてい
る。この少年の走り様を見ると、さもありなんと得心するのであ
った。
それにしても、昨今の我が国の子供の所行を見るにつけ、ど
ちらが少年として真っ当なのか考えてしまった。