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東京を発った我々ペルー探索の一行は、ロスアンゼルス経由で凡そ20時間後、現地時間11月21日
夜半0時30分に首都リマに到着。ホテルで荷ほどきも程々にベットに入ったものの、3時間もしない内にモーニングコールで起こされる。ナスカの地上絵を見学するため、リマ空港を5:30にスタートするため
である。
古代の「世界の七不思議」といえば、紀元前2世紀にギリシャ人フィロンが定めた、「エジプトの大ピラミッド」や「アレキサンドリアの灯台」、「バビロンの空中庭園」等が有名であるが、残念ながら、今は、それら
は大ピラミッドを残して全て現存していない。一方、現代の「世界の七不思議」を上げるとするならば、大ピラミッドに匹敵し、上位にランクされるのが、ペルーの「マチュピチュ」と「ナスカの地上絵」ということに
なろう。
今回のペルー探索は、この二つの不思議を直接目にすることが出来るのだから、心躍るのも無理からぬことである。ロビーであった仲間は誰も眠いなどと愚痴をこぼすような野暮な人はいない。皆思いは一つであるようだ。リマから凡そ1時間ほど小型機でナスカの近郊イカ空港に降り立つ。そこで軽飛行機に乗り換えて、待望の地上絵上空を目指して出発である。
地上絵見学を早い時間にするのは、太陽が斜めに射す午前中と午後4時過ぎが、くっきりと浮き上がって見える最良の時間帯であるからである。
地上絵を描いたとされているナスカ文化は、ペルー海岸から80キロほどの内陸部に紀元前400年頃から後900年頃わたって栄えたとされるプレ・インカ時代の謎の多い文化であるが、それにも増して、地上絵そのものが不思議な遺物で、何を目的にどんな方法で描かれたのか、正確なところは今でも謎のままである。
地上絵は東西40q、南北50qの2000平方キロメートルにわたる広大なパンパ(大平原)に、所狭しとばかりに、大小さまざまな絵や幾何学図形が描かれた、いわば壮大な落書きの親分みたいなものである。一筆画(ひとふでが)で描かれた絵の種類は、動物をはじめ魚、虫、植物、人間(?)等で、その大きさは10メートルから大きなものは400メートルにも及び、その数は40個を越している。また、台形や長方形や三角形等の幾何学的図形は更に数が多く,一辺の長さは何qにも及ぶものもあり、近年、宇宙衛星ランドサットから撮影されたものは、なんと50キロメートルにも及ぶ想像を絶するほどの巨大なスケールである。
イカを飛び立った軽飛行機は、月面を飛んだ宇宙飛行士が眺めたのと同様、一本の草木もないパンパ(大平原)を眼下に見ながら、20分ほどするといよいよ地上絵の上空にさしかかった。ペルー空軍出身
の機長は手慣れたもので左へ右へと機首を傾けながら次々に地上絵を搭乗者の視野に入れてくれる。最初に目に飛び込んで来たのが、小高い丘の側面に描かれた「宇宙人」とか「月人間」と呼ばれるている人間に似た生き物の立象図である。確かにその絵に向かい合うと、身元不詳の人物が上空の我々に向かって「ヤー」と呼びかけているかのように見えてくる。機を大きく傾けて接近するとなおさらその感が強くなり、何とも奇妙で不思議な気持ちに駆られる。
その後、機長はそれぞれの絵に接近するたびに、「猿、Monkey」、「ハチドリ、Humming Bird」,[クモ、Spider」、「コンドル、
Condor」と大声で叫んでくれる。言われるまでもなく、絵の存在場所さえ確認出来れば、それが何を描いたものかはすぐに理解できる。数千年の歳月を経た今日、幾つかの絵図は心ない観光客たちが付けた足跡や車の轍(わだち)の為に見にくくなっているが、未だその大半はその姿が何を描いたものであるか十分に判断出来る状態が保たれている。また、動植物や人間に似た生き物の絵図とは別に、巨大な長方形や台形の幾何学図形も幾つか観察できたが、何にも増して驚いたのは、古代のヒューストンを思い浮かばせる巨大な滑走路様の図形と、それを形作る長大な一辺の直進性の
精度の高さであった。
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それでは、この辺で、地上絵の写真を実際に見て頂くことにしよう。ただしセスナ機からの観察時には皆さんにお見せ出来るような写真が十分に撮れなかったため、何枚かは参考文献から借用した物であることをお断りしておく。
参考文献: 『ナスカの地上絵』シモーヌ・ワイスバード著 大陸書房刊 『世界超古代文明の謎』 日本文芸社刊