車山のニッコウキスゲ
皆既日食の日、長野県の蓼科高原を訪ねた。車山のニッコウキスゲを見るためである。あいにくの曇り空であったが、3連休だったこともあって高原一帯は大変なにぎわいで車は大渋滞、白樺湖から車山まで普段は10分ほどの距離をこの日は1時間ほどかかってしまった。まさに高速代1000円の大弊害であった。
車山には、ニッコウキスゲの大群落地が何カ所かあるが、最も壮観なのが白樺湖から蓼科に向かう途中のレストランに隣接した小高い丘。この辺りは北アルプスや富士山が遠望できる上に、この時期はノビタキなどの野鳥が雛(ひな)をかえす時期でもあるので、長いレンズを抱えた野鳥カメラマンの姿も多く見受けた。
今日からいよいよ8月、夏本番であるが相変わらず日本列島は雲に覆われ、梅雨本番の空模様である。関東一帯は先月半ばには梅雨明け宣言が出たはずなのに、その後2、3日したら梅雨空に戻り、連日曇りと雨の天気が続いている。
私の住む町でも稲熱病(いもちびょう)が発生し始め、農家に注意警報が発動された。稲熱病は稲の病気で、日照時間が少なく長雨が続くと発生するわけだが、凶作に結びつく言葉で農家にとっては不吉な病気である。
今の段階は稲の葉がやられている段階であるが、それでもすでに穂に影響が出始めており、後1週間ほどこんな天気が続くようだと、発芽し始めた穂自体が病気になり、収穫に大きく影響を及ぼすことになる。
週間天気予報を見ると、関東の一部では来週から晴れ間が見えるようであるが、米所の秋田や新潟など各地では相変わらずの梅雨空が続くようで心配である。標高の高い所や高緯度の地域では、稲の生育にとって重要なのは、7月の20日頃から8月半ば頃までの日照時間と気温である。それだけに、これから1週間、10日の天気が気になるところである。
農家にとっての痛手は、稲作だけではない。これだけ長雨が続くと、ジャガイモやタマネギなどの球根類をはじめトマトやササギ、キュウリと言った日常生活に影響を及ぼす野菜類も大打撃である.また、山梨は桃やブドウの産地として有名であるが、果樹園を営む人の話を聞くと、長雨のため
実が大きくなるに連れ次々と落ちてしまい、残ったものも色づきが悪く甘味が少なく大痛手のようである。
札幌講演でお聞きした話だと、北海道では笹の葉に異常が見られるようで、早くも花が咲いたり、黒い実がなったりし始めたそうである。私はこの年になるまで、笹の花など見たことがないのだが、それだけ笹の花が咲くのは滅多にない
ことらしく、古老からは「花の咲く年は凶作間違いなし」と言われているようである。
未曾有の大凶作に襲われた昭和38年(1953年)には、八ヶ岳周辺でも笹の葉の花が咲いて話題になったと言うから、北海道では今年は思わぬ凶作に見舞われることになるかもしれない。