水田の鳥たち

私の家から車で20分ほど走って長野県に入ると、富士見町のつ立沢という部落に出る。この辺りは標高が1000m〜1200m の八ヶ岳のすそ野に広がる高原地帯で、本来なら稲作にはあまり適しておらず、寒さに強い品種しか育たない場所であった。

そのため昔は麦畑が広がっていた一帯であるが、今は辺り一面が田んぼで覆われ、見事な田園地帯となっている。また、単に稲作が盛んになっただけでなく、最近は、かってははるかに標高の低い土地でしか育たなかった、非寒冷地用の味の良い品種が育成 されるようになってきている。

やはり、地球温暖化の影響はこの地域にも顕著に表れているようである。いくら田舎に住んでいても、農業をやったり自然と接することが少ないと実感できないものだが、こうした 実体を知ると、気候変動のすさまじさが身に迫ってくる。

こうした変化は、野鳥を追っていても体験することになる。野鳥写真家の桑島献一氏が立沢の水田に珍しい野鳥たちがやって来ていると教えて下さった。ちょうど『2012年アセンション最後の真実』を発刊し終わった後だったので、早速訪ねてみ ることにした。
 

 

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富士見高原から眺めた南アルプス(中央が甲斐駒ヶ岳)

8月23日、空から入道雲が消え一気に秋空が広がっている。
 

 

この地区でも農家の方が年老いてきて、跡を継ぐ方が減ってきたために、休耕田が所々に目立つようになってきている。その休耕田もそのままの状態でほっておくと、草が生えて田んぼとして再生できなくなってしまう。

そこで、草刈りをした後に水を入れて水田の状態にし たあと、時期を見て水を退くということをしている。水田となっている最中は、昆虫や水虫などがいるため、野鳥たち、特に水鳥にとっては格好の餌場となる。

訪ねてみると、体長がスズメを一回り大きくしたほどの小さな水鳥が、薄く水が張られた田んぼの中で盛んに餌をついばんでいた。前頭部が黒く、目のまわり を艶やか黄色で縁取りした、大変可愛いらしい「コチドリ」である。

その後何日か訪ねてみると、同じシギ科の鳥たちに出くわした。「タカブシギ」や「ハジロコチドリ」、それに、「クサシギ」たちである。これらの鳥は渡り鳥としてユーラシア大陸から日本にやってくるのだが、この辺り ではめったに見かけることのない野鳥である。

というのは、標高がせいぜい500mから600mぐらいの地域にしかやってこない鳥たちであるからだ。こうした鳥たちが標高が1000mを越える高原地帯にやってきている のだから驚きである。それにクサシギは野鳥図鑑を見ると、渡来の時期が9月となっている。

飛来する場所が高地に移り、その時期も速まっているということは、野鳥たちがいかに気候の変化を感じているかを如実に物語っている証拠である。彼らは人間よりはるかに自然の変化を 敏感に感じ取っているだ。

なお、蝶の名前は、いつも教えて頂いている昆虫博物館の塚田館長さんが留守のため、後日、記載することにします。

 



 

 

タカブシギ

 

タカブシギ

ハジロコチドリ?
コチドリの幼鳥?

 



 


コチドリ
 

クサシギ
(桑島献一氏撮影)

カワラヒワ

 



 


ヒバリ
 

ハクセキレイ

 

 



 


オモダカ(アギナシ)
 

ヒルガオ

 


 



 

 

モンキチョウ



 


 



 


ウラギンスヒョウモン