北アルプス山麓の紅葉
グアテマラから帰国後、15時間の時差からなかなか抜け出せずにいた。こういう時には、太陽がかんかんに照る日中、外で動き回るのが一番である。
ちょうど町の写真クラブの撮影会があったので、時間をやりくりして出かけることにした。中央高速で松本方面に向かい1時間、豊科インターで降りてさらに30分走ると北アルプスの麓(ふもと)の町・大町に着く。
山沿いの高台に500年の歴史を持つ霊松寺がある。そこには大町市の指定記念物に指定された「オハツキイチョウ」の大木がある。オハツキイチョウというのは「お葉付き銀杏」の意味で、銀杏(ギンナン)が葉の上に結実するところからつけられた名前である。
秋に落葉した葉を見ると、普通の銀杏より小粒の実が葉についているのを見かけるという。こういったイチョウは珍しいが、地下の水分の量によってこうしたことが起きるようである。
隣接する池田町に向かい標高1000mの大峰牧場を訪ねる。そこには、紅葉のピーク時には、7色の葉に輝くことで有名大カエデがあった。今年の紅葉は例年に比べて10日ほど早かったために、訪ねたときはピークを少し過ぎていたので、7色の紅葉にはお目にかかれなかったが、朱色に輝く大カエデの紅葉を
堪能することが出来た。
この大カエデには1つのエピソードが残されている。昭和22年に大峰高原開拓団によって発見され、開拓に際、この根はどうにもならなかったので、思案の末、高地の日当たりを考え根から幹1mを残し、丸坊主にして、中央に残すことにしたそうである。
それから21年の歳月が流れたあとの昭和43年、この大峰一帯を牧場にすることになり、峰の頂き近くの窪地にあるこの地に立ってみると、そこには盆栽のように整った枝振りに成長した大カカエデが立っていたというわけである。
通常、山モミジは大樹に成長することはないのであるが、この地はフォッサマグマが地下を走り、豊穣な火山灰地とこのくぼ地が根に栄養素を集めたために、1000mを超す高地でありながら奇跡的に大樹に成長したようである。
麓に降りて、近くの「道の駅」で昼食を済ませてから向かったのが、同じ池田町にある長福寺。ここにはイチョウの大木があり、ちょうど今が見頃で、そそり立つ大木の
黄金色に染まった葉がスカイブルーの空に見事に浮かび上がっていた。
カエデやイチョウの紅葉による目の保養と昼間の太陽浴のお陰で、どうやら時差ボケは消えてくれたようである。
自然の力は万薬に勝るようである。
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本堂からの眺め
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ドウダンツツジと
北アルプス |
モミジ |
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大峰牧場の大カエデ
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長福寺の地蔵
6体の地蔵がみな向く方向や
表情が違っていて興味深かった
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長福寺の大イチョウ |
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黄金色に輝くダンコウバイの葉 |
ホオズキ
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落葉したモミジ |