オオマシコを撮る
4月末に徳間書店から発行を予定しているのが、マウリツィオ・カヴァーロ氏との対談集である。その原稿整理に追われている真っただ中、冬の渡り鳥で赤い鳥の代名詞でもあるオオマシコの姿を見つけたとの情報が飛び込んできた。
これまでなかなかチャンスに恵まれず、その姿を写真に収めることが出来なかった憧れの野鳥だけに、原稿整理を中断して撮影に出掛けることにした。
家から20号線を東京方面に向けて1時間ほど走ったところで林道に入る。さらに30分ほど進むと、そこから先は車が入れないので車を止め
、重い機材をかついで急坂を数百メートルほど登る。そこが教えられたオオマシコ出現の場所である。
待つこと1時間半、一向にそれらしい姿はおろか、鳴き声さえ聞こえない。時期が3月末であるため、すでに飛び立ってしまった可能性もあり諦めかけたその時、崖っぷちの高い木の梢に2羽の鳥がやってきた。
望遠レンズで覗くと赤い衣をまとったオオマシコである。頭部から胸回りにかけて艶やかな朱色が目を引く。待望のオス鳥である。その内にメスもやってきて総勢で8羽ほどになった。メスはオスに比べて赤みが少なく、どちらかというとベニマシコに似ている。野鳥の常であるが狙いはやはりオスである。
後は、餌を求めて低地に降りてくれるのを待つしかない。嬉しいことに数分もすると、地面に降りて草の実をついばみ始めた。近くに水場もあるので、鳥たちにとっては格好の場所のようで、カシラダカやコ
ガラなどもやってきた。
結構動きが早いので、少々苦労したが夕方まで粘って、どうにか何枚かを撮影することが出来た。これで私の野鳥ライブラリーにまた1種類可愛い鳥が加わることになった。
因みに、オオマシコ、ベニマシコなどのマシコ類の「マシ」は猿の古名。ニホンザルの顔のように体が赤いことから「マシコ」(猿子)の名が付いたと言われている。それゆえ、オオマシコを漢字で書くと「大猿子」と書き、ベニマシコは「紅猿子」となる。
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オオマシコのオス
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A
シベリア東部やサハ
リンで繁殖し、日本に
は冬鳥として渡来する
が、数は少ない
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