山ツツジと九輪草
八ヶ岳山麓の清里には「美しが森」という景勝地がある。こんもりした高台に登ると、晴れた日には東の方向に富士山がくっきり浮かんで見える。また、南北には南アルプス連峰と八ヶ岳を見渡せ、素晴らしい景観
を楽しむことが出来る。
この森は山ツツジの群生地としても有名である。通常は6月中旬が盛りであるが、今年は10日ほど早く、7日に訪ねた際には、ピークを少し過ぎていた。
「美しが森」を訪ねるもう一つの楽しみは、他ではあまり見られないクリンソウ(九輪草)を見ることである。高台の休憩所から200mほどはずれた場所にある自生地では、濃いピンク色のクリンソウがちょうど見ごろを迎えていて目を楽しませてくれた。
クリンソウは一見したところ園芸用の花に思えるが、純粋に日本原産の野草で、サクラソウと同じく川沿いや湿った山地に生えている。図鑑で見ると花弁の色はピンク色をしているが、美しが森の花はもう少し濃い色で紫がかっていた。
この花は全国19もの都道府県で絶滅危惧に指定されているぐらい、少なくなってきているのだが、その少ない花を根こそぎ持ち帰ってしまう輩がいるらしく、先日も信濃毎日紙に大池高原にある大池の群生地で、クリンソウの盗掘が続いているという記事が掲載されていた。
アセンションが近づいてきているというのに、今でもまだ、おのれの欲得しか考えない、「木星行き」の連中は後を絶たないようだ。珍しい野草を守って村の観光に役立てようとしている観光協会や商工会青年部の人々の労を踏みにじっているのだから、寂しくもあり悲しい話である。