賑やかなさえずり
5月に入ると、静かな冬の森から一転して、そこは恋を語りあう野鳥のさえずりで一段と賑(にぎ)やかになってくる。この時期、野鳥たちは超多忙である。渡り鳥たち
がやって来て先ず最初にする仕事は、自分のなわばりを確保すること。
その後は、つがいを求め、巣を作り、産卵し、子育てと多忙な日々が続く
ことになる。あの賑やかな野鳥のさえずりは求愛のためだけでなく、縄張りの宣言や天敵の襲来を知らせあったりと色々な意味があるのだ。
森の木々は5月に入り新芽を吹き始めると、あっという間に葉がおい茂り緑一色になってくる。新緑の中を飛び回る鳥たちの姿は一段と
いきいきとしてきて、絵になる写真が撮れるのだが、やっかいな問題も出てくる。というのは、鳥たちが葉の陰に隠れてしまうので、その姿を写すのがむずかしくなってくるからである。
森に入り、お目当ての鳥のやって来るのを待っていると、思いがけない鳥がやってきてびっくりすることがある。困るのは、時間をあけて順次やって来てくれるといいのだが、
どういうわけか、1種類がやってくると次々と飛んで来てしまうことである。1羽の鳥を撮っている間に、他の鳥たちはいなくなってしまう。
こういう時には狙いを一つに定めて欲をかかないことが肝心。あれもこれもと目移りしていると、結果的には、どの鳥も撮れずに終わってしまう
ことになる。欲の突っ張りは何事においても、良い結果は産まないようである。これも人生の教訓だ。
今回から3回シリーズで、野鳥たちの姿を掲載することにする。この3週間ほどの間に、暇を見つけては山に入って撮影した写真である。少しでも、都会暮らしの読者の皆さんの心の安らぎになれたら幸いである。