暮れの八ヶ岳山麓を走る
年も押し迫った12月31日、自然観察員の大作氏に案内され、標高1600メートルの野辺山まで出掛けてみた。野鳥や鹿、狐などの動物が冬山に棲む様子を見るためだ。
小淵沢より700メートルほど高いその辺り一帯は、残雪の量が違い、そこには輝くばかりの銀世界が広がっていた。
途中、牧草地に広がる雪原で、ニホン鹿の一群に遭遇。雪のための餌不足で、下まで降りてきているらしく、望遠レンズで覗くと、雄、雌、子供など40〜50頭の大群が草の根や赤松の木の皮を食べているのが見える。木洩れ日に照らされて、栗毛色の毛肌が見事な黄金色に輝いている。
大作氏の話によると、ここ数年、八ヶ岳山麓一帯の野生動物の数が大分少なくなっているという。増えているのは「イノシシ」と「カラス」ぐらいですよと言って苦笑していた。特にその減少が激しいのは野鳥で、シベリアから越冬のため渡ってくる鳥たちが、シベリア一帯の大規模な「森林火災」のために減少しているのが原因ではないかという。
先日もテレビで、オーストラリアの森林火災の様子が放映されていたが、世界各地で広がる森林火災の生態系に及ぼす影響は大きいようだ。
森林火災の世界的な蔓延はエルニーヨによる異常気象が原因とされているが、アラスカのフェアバンクス在住の船津氏
(当HP「北緯90度・北極点に立つ」に登場する探検家で、「犬ぞりレース」のプロとして活躍中)
からの手紙によると、アラスカの温暖化も異常だという。
100年前のゴールドラッシュ時に始まった気象観測以来の記録的な小雪で、「犬ぞりレース」や「スノーモービル」がまったく出来ない状況だという。手紙には「異常気象もここまで来るとあきれるばかりです」と書かれていた。
今回は、お目当てのカモシカやフクロウ、狐などの様子を見ることが出来なかったが、撮影が出来た折りには、掲載する予定なのでお待ち頂きたい。