ミヤマホウジロを撮る
氷点下がつづく八ヶ岳山麓、今年も可愛らしい冬の渡り鳥がやって来た。
予定されていた1月の講演会をすべて終えた月末、「ミヤマホウジロ」(ホオジロの仲間)が来ているという知らせを聞いてさっそく撮影に出掛けた。正月の雪が残る山中の早朝はさすがに寒い。風邪の微熱がつづく身にはなおさらこたえる。
それでも、北極や南極で着用した防寒セットを身につけテントの中に入ると、背中が汗ばむほどである。しかし、問題はカメラの方だ。三脚にセットして1時間も経つとバッテリーが一気に低下、肝心なときにシャッターが切れない状態に陥る。
電池は寒さに弱い。零下近くなると容量が急低下する。まさにデジタルの泣き所だ。大きなテントの中では、テントの中全体を暖めることが出来るが、小型のテントでは、ホカロンを電池の周りに張り付けるしかない。
待ち続けること2時間。チッ、チッという小さな鳴き声がテントの横から聞こえてきた。しばらくすると、ホウジロと一緒に待望のミヤマホウジロが姿を現した。黄色い冠羽(とさか)が一段と艶やかだ。しかし、なかなかお目当ての枝にとまってくれない。ここは辛抱のしどころだ。
テントの編み目から外を見ると、リスが木の枝を渡っている。テントから出てしばらく目安をつけた場所で待つことにする。風が吹くと寒さが一段ときつくなる。うまい具合に思っていた枝にやって来た。シャッターを押す手がかじかんでいる。
通い詰めること4日間。どうにかそれなりの写真が撮れた。ヤレヤレである。
撮影指導・協力 桑島献一氏