長野県南部の諏訪地方にある諏訪湖が全面凍結し、「お神渡り」(おみわたり)と呼ばれる現象が発生した。
お神渡りとは、諏訪湖が全面凍結する際に、湖の中央部の氷がせり上がって氷の山が走る現象である。昔から、諏訪の人々は、それを神々が湖を渡った跡だと信じ
て「お神渡り」と呼んできた。
というのは、諏訪には有名な「諏訪大社」があるが、その上社(かみしゃ)本宮と下社(春宮・秋宮)が諏訪湖を挟んで南北に分かれているため、この時期に、神々が氷結した湖上を渡って行き来をするのだと
、考えられていたからである。
お神渡りが出来るには、まず湖が全面凍結しなければならない。それには、水温がマイナス10〜12度ぐらいの日が4日ほど続き、その間、強い風が吹かないことが条件
となる。近年、温暖化と水の汚染化によって、こうした条件が整わなずに、「お神渡り現象」
が発生しない年が多くなってきていた。現に昨年も、お神渡りは見られなかった。
また、すべての条件が整い氷の筋が出来たからといって、それだけで「お神渡り」が発生したというわけではない。諏訪市にある八剣(矢剣)神社の宮司や総代の人々が、せり上がりの氷の山の高さや、筋がどこからどこへ向かっているかなどを検討した上で、
「お神渡り」として認めるかどうかを決定するのだ。今年は、1月末に氷の筋が出来上がり、2月1日に「お神渡り」の判定が下された。