人間ドラマ「功名が辻 」

我が田舎町、小淵沢も「村」から「町」へ、そして平成の大合併でとうとう「北杜市」(ほくとし)へと昇格することになった。昔の村会議員は今や市会議員さんである。「功名が辻」を求め て先生方は何かと忙しそうに飛び回っている。

私も先生方に負けずに忙しい日々が続いている。「忙中閑有り」。連休が明けて静けさが戻った新緑の山麓を歩いてみた。我が家から八ヶ岳に向かって40分ほど登ると、「信玄の棒道」に出る。昔、武田信玄が上杉謙信との戦いを有利に進めるために作った戦略的な道路である。

言うなれば、甲斐の国から信濃へ抜ける、武田騎馬軍団の「戦国のハイウエイ」といったところである。今から450年前、戦国の武士たちもまた「功名が辻」を夢見て、この道を 「信濃」へ、そして「京」へと駆け上がっていったことだろう。

「夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡(あと)」、松尾芭蕉の歌を思い出しながら、戦国時代の棒道を散策していると、足下に、昔ながらの可憐な草花がひっそりと花を咲かせていた。

輝くように咲き誇る小さな花々を眺めていると、花の精霊が喜々として飛び跳ねている姿が目に浮かんでくる。可憐で艶やかなこの草花たちは、万物の霊長たる人間の生き様をどう思って眺めてきたのだろうか? 一度聞いてみたいものである。

「功名が辻」を求めて、戦はいつになっても終わりそうもない。きな臭くなってきた中東の次なる戦争は、地上の生命を根絶やしにしようとしている。「万物の霊長」とやらは何とも処し難い生き物だと、草花たちは愛想 を尽かしていることだろう。

 

 

 

 

ミヤマオダマキ

 

アイズシモツケ

クマガイソウ

 

 

オトコヨウゾメ

 

キタダケソウ

ヘビイチゴ

スズラン