夏の入笠山に登る (1)
「コマドリ」を追い求めて、未だ梅雨の明けきれない入笠山に登ったのは7月の後半。
ヒナの孵った(かえった)後のコマドリは、林の奥からあの鈴の音に似た爽やかな鳴き声を響かせているものの、なかなかその華麗な姿を現さない。
その日は、コマドリの撮影はあきらめて、標高1500メートル地帯に咲く野草を撮ることにした。
可憐な草花はアップで撮ると、その美しさが一段と増す。中でも薄紫色の「カワラナデシコ」の花弁は息を飲むほどに艶やかだ。「黄花のヤマオダマキ」や「黄ツリフネ草」も高山植物独特の可憐な美しさを見せている。