赤い鳥「オオマシコ」を撮る
2月に入り、寒波が到来した凍えるような朝、標高1500メートルの清里は零下16度。寒さをこらえて雪原に立っていると、顔や指が寒さを通り越して痛くなってくる。しかし、青空と雪原を入れてカモシカを撮ろうとすると、こうして待つしかない。
なかなか現れないカモシカを待っていると、赤い色の鳥の姿が目にとまった。ベニマシコだ!紅い色の鳥の中で、オオマシコと並んで評判の美しい鳥である。写真に撮るなら、この鳥は小枝にとまっている姿より、純白の雪をバックにした方が映える。
しかし、こちらの思惑通りには飛んでくれるわけではない。鳥には鳥の都合があるのだ。しばらく待っていると、幸運にも、鳥の都合とこちらの思惑が合致するところと相成った。好物のヨモギの実を食べに雪に覆われた土手の上に降りてきてくれたのだ。
千載一遇のチャンス!ただ距離が14〜15メートルほどありそうなので、10センチそこそこのこの鳥を撮るには、400ミリレンズでは少し遠すぎるようだ。テレコンをつけて倍率を2倍にしようと試みるが、長時間立ちっぱなしのため、手がかじかんで装てんが思うようにいかない。装てん中に飛んでいってしまわないかと気が気ではない。
有り難いことに、お腹が大分すいていたようで、しばらくの間、餌をついばんでいてくれたので、数枚のカットを撮ることが出来た。こういう幸運にもたまには出くわすことがあるのだ。
ホッとして天を仰ぐと、紺碧の空に、関空に向かう日航の一番機の機影が見えた。
参考文献 : 『日本の野鳥』 (竹下信雄著 小学館刊)
『日本の野鳥』 (山と渓谷社刊)