北京で再び最悪の砂嵐　

28日、北京市で再び砂嵐が発生したニュースについては読者はご存じのことと思う。その砂嵐の流れは韓国や我が国にも及んでおり、今日も我が家から南アルプス上空を見ると曇り空とは違う、独特の空に覆われている。

ところが、中国官製メディアは「北京に再び青い太陽が現れた」「紫禁城を訪れる観光客の熱気は衰えていない」等とまるで砂嵐を美化するかのような報道を行っているのには、驚かされた。

中国メディアによると、２８日早朝にかけて発生した砂嵐は北京北西部に入り、北京市のほとんどの地域がその影響を受けて、視界不良で遠くても1キロメートル先しか見えない状況と化しており、大気汚染レベルは非常に深刻なレベルに達していたようである。

北京市生態環境観測センターによると、28日午前7時の時点で、北京市のPM10濃度は1立方メートル当たり2000マイクログラムを超え、世界保健機関（WHO）基準値の約100倍超える深刻な大気汚染レベルに達していたというから、かなり厳しい状況であったことは確かである。

28日に北京で撮影された写真をみるとそれがよくわかる。大規模な砂嵐に覆われた街は黄色く染められ、上空にはどんよりした空が広がって、建物が見えない状況と化していた。また、今回の砂嵐は中国の全国人民代表大会が終了したばかりの3月15日にも発生しており、その後、黄砂は17日、24日、そして今回の28日と続き、今、北京市は過去10年で最悪規模の黄砂被害が広がる状況に置かれているようである。

驚いたのは、北京日報や北京晚報などの電子版は、砂嵐で青い太陽が再び北京に現れたとし、「一部のネットユーザーは、青く染まった太陽がまるで火星から見た太陽と同じようだと喜んでいる」とか、「紫禁城は砂ほこりの中でより一層美しくなっている」などとする観光客の言を掲載していたことであった。

それにしても、大気汚染レベルが危険なほど高く、多くの航空機のフライトがキャンセルされているというのに、管制メディアがこんな記事を掲載しているというのには驚きである。

そんな中、一部のネットユーザーは「なに？ 共産党政権は我々人民に、いよいよ砂嵐の鑑賞までさせようとしているのか？　この恥知らずめ！」とコメントしている。また、「どういう気持ちでそんなことを言ったのか？　興奮か？　誇りか？　それともほかの国では見れないぞという自慢か？」と皮肉っていた。

どうやら、中国社会が今やなんともはやおかしな状況と化して来ていることは、間違いなさそうである。それにしても、中国本土で発生する砂嵐は隣国の韓国や我が国では防ぎようがないだけに、困ったことである。