ティポン遺跡を訪ねる
ワロ博物館からの帰り、ティポン遺跡に寄ってみた。あまり知られていないこの遺跡にも先史文明の痕跡が残されている。
幹線道路から脇にそれると間もなく400メートルほどの高さの山が見えてくる。その山頂付近にあるのがティポン遺跡だ。
遺跡を下から眺めると、山の沢地に階段式に基壇状の台地が造られており、沢の周りを上段まで石垣が取り囲んでいる。驚かされるのは、垂直に切り立ったその石壁と基壇を形作っている7段の石垣の見事さである。
基壇の最上段には水場があり、湧き水を貯え一定の水量で放流している。水場は見事な切り口で切り出された石が積まれており、マチュピチュやオリャンタイタンボ遺跡の石組みを彷彿(ほうふつ)させる。
この遺跡のよくわからない点は、7段からなる基壇状の高台が何に使われたのかということである。段々畑にしては立派すぎるし、祭壇にしては段数が多過ぎるように思われるのだ。
石段と両壁の石積みの一部は修復したあとがあるが、それでも見事に積み上げられている。元はタンボマチャイの石垣に匹敵するほどの精緻さがあったのかもしれない。(ペルー探索の旅「サクサイワマン城塞」のタンボマチャイの写真参照)
所々に80ー100センチほどの大きさの石が組み込まれており、最下段には私の背丈より遙かに大きい、縦・横200ー250センチほどの巨石も使われている。
ただ全体的に、使われている石が小さいことと、石組みの精緻さが、先史文明の痕跡を残すマチュピチュやオリャンタイタンボなどの遺跡に比べて劣る点から、それらの遺跡に比べてやや後代のものではないかと思われる。