白川郷の撮影を終えた後、時間も遅くなり雪も降り続いていたので、飛騨高山に宿をとることにした。 帰宅するには松本インターまで幾つかの峠を越えなければならず、
車の気温計ではマイナス15度を示しており、道路の凍結が危惧されたからである。
一泊したおかげで、帰路の途中、飛騨高山と奥飛騨温泉郷の中間(岐阜県高山市丹生川町)にある「飛騨大鍾乳洞」に立ち寄ることになった。 そこは、全長約
800mにも及ぶ見どころ豊富な国内屈指の鍾乳洞で、 観光鍾乳洞としては日本一高い標高 900mに位置している。
洞内の通年平均気温は約12℃。 当日は10度を下回っていたが、昨夜のマイナス15度の中での撮影に比べれば、楽なもの。 上る通路は階段状になっており
最上段まで行くのには足腰の弱い方には、多少きつく感じられるかもしれない。 日々続けている1時間弱の歩きは、こうした時に役に立つ。
鍾乳洞の中を最上段まで進んで、通路の窓から外を眺めた瞬間、思わず「わ〜凄い」と驚きの声をあげてしまった。 そこには驚きの「氷の渓谷」
が広がっていたからである。 高さ30〜40メートル、横幅100メートルを超す岩肌に巨大な氷のつららが連なったその景観は圧巻。
これほどの凄さとは思っていなかっただけに衝撃的であった。
上空から薄日が射す中、青白く光ったつららと、その上に積もった白雪とのコントラストが見事で、しばらくカメラを手にしたまま見入ってしまった。
帰りの通路の窓から眺めることが出来たので、下りながらの撮影となった。
少し下ったところで見ると、七福神の石像が通路に沿って立ち並んでおり、福徳財宝を授けて下さる大黒天様をはじめ、弁財天様、毘沙門天様など7体の神様が皆腰まで雪に埋もれ、頭には30センチほどの雪が積もっている。
巨大なつららを背景にしたその光景は、滅多に見ることのできないものであった。
写真を撮る者にとってはまたとないチャンス、 滅多に目に出来ない光景に遭遇させて頂いて幸運であった
。 ただ、通路からしか撮影が出来なかったので、なかなか絵にするのが難しく、窓から身を乗り出したりなどして何とか撮影にこぎつけた。 にこやかなお顔をされた大黒天様に比べ、厳しさがにじんだ毘沙門天様のお顔は撮るものの気持ちを凛とさせるものがあった。
今回の写真も機会を見て徳乃蔵での展示を予定しているので、その際には是非ご来館頂き、スマホでは得られない氷柱の迫力を味わって頂きたい。
追記
スマホやタブレットをお使いの方で、前回掲載した「雪の白川郷を撮る @」の上段の写真を見れない方がおられたようですが、修正しておきましたのでチェックしてみて下さい。