西岸沿いを北へ走る
日本最北端の島、利尻島(りしり)礼文島(れぶん)を訪ねる旅に出た。
昨夜、札幌入りしホテルを早朝に出発。稚内に向かうには高速を使っ
た旭川経由と、西海岸沿いの一般道路を走る二通りの方法がある。海岸沿いの風景を撮影したり、途中の島に寄ったりしていこうと思っているので後者を選ぶことにした。
今回の撮影の旅は、札幌講演会
で長い間お世話になっている斎数賢也氏が協力して下さることになった。氏は札幌から140キロほど北に寄った海岸沿いの苫前町の出身で、西海岸の状況に詳しいこともあって、ガイド役をお願いすることにした。
7月下旬から北海道、特に目指す西岸北部地方は天気が悪く、曇りや雨の日が続いている、今日も天気予報を見ると、午前中は曇り空のようである。それでも札幌を離れるにつれ少しずつ明るくなってきたので、うまくすると午後には陽が差してくれるかも知れない。
50キロほど走った辺りで、石狩市浜益の「千本ナラ」の森に立ち寄ることにした。旧道沿いの丘の上の山道に入ると「森の巨人たち」百選に選ばれた森が見えてきた。霧の中にしめ縄が巻かれた3
本の神木が立っている。樹齢800年を超す直径が2メートルのミズナラ
の大木である。
地元の人々
からは神木として拝められているらしく
、近寄ってみると、大木に巻き付けられたしめ縄には様々な祈り事が書かれたシャモジが差し込まれていた。
さらに20キロほど走った町の海岸沿いには「白銀の滝」(しろがねのたき)がある。この滝は、
暑寒別(しょかんべつ)天売焼尻(てうりやぎしり)国定公園内にある暑寒連峰の山肌を伝い流れるせせらぎが集まり、岬の急斜面を壮大な水しぶきととなって日本海へと流れ落ちているもので、国道開通を記念して「白銀の滝」と命名されたものである。
その後、近くの雄冬岬(おふゆみさき)の展望台に上る。そこから海岸沿いに北を眺めると、はるかかなたに留萌(るもい)の海岸が望める。かっては雄冬集落一帯は陸の孤島と言われ、長い間札幌からも留萌からも道が通じておらず、札幌や稚内に向かうには沿岸を船で渡るしか手がなかったよ
うである。
北海道を旅した人なら誰もがお気づきだと思うが、読みにくい地名がなんとも多い。それは本島から入植してきた人々が古くから住み着いていたアイヌ民族の呼び名を引きついたから
に他ならない。もともとが日本語ではないのだから、「カタカナ」か「ひらがな」で表現するしかないものを漢字を当て字にしようとしたのだから、読みにくのは当たり前である。
なんとも奇妙な当て字に出会うたびに
大和民族の血をひく自分が侵略者の末裔であることに気づかされる。 《 次回へ続く 》