早朝4時起きして美瑛に向け出発。美瑛までおよそ2時間半、途中で撮影しながらも7時過ぎには待望の「美瑛の丘」に立つことが出来た。私にはお馴染みの丘ではあるが、春夏秋冬、訪ねるたびに景色が変わり、その都度感動する場面に出くわす。そこには本島では見ることの出来ない雄大で心ときめく景観が広がっているからである。
今回はその景観の中でも極めて珍しい風景を写真に収めようとやって来たのだ。その情景とは?、一言で言うなら、春夏秋冬の色彩の全て詰まった景観である。
自然は冬には冬の、秋には秋の、春や夏には春、夏の独特の色彩を醸し出す。それらの色彩が一枚の写真に収まった景観とは?
上段の写真を見て頂ければご納得頂けるはずだ。先ずはクリックして写真を見て頂こう。そこに見えるのは、雲一つない青空と冠雪を頂いた大雪山連峰、黄金色に輝く唐松林、一面が緑色に彩られた麦畑、
青白く輝く雪原の斜面。
遠くに写る大雪山連峰と手前斜面の積雪の白色は冬の色、黄金色に色づいた唐松は秋の色、緑色に染まった麦畑は春から夏にかけての色である。
この写真には、こうした春夏秋冬の色の全てが詰まっていることが
、お分かりになられたであろうか。 晩秋のこのシーズンになぜ緑色の畑が広がっているかというと、それは秋まき小麦が一面を覆っているからである。
積雪しているのになぜ紅葉が残っているのか? 偶然が重なった奇跡の一瞬であったからである。
3年ほど前に美瑛を訪れた際に拝見したのが、地元に移住しておられる写真家が撮られた同様の風景写真であった。そこに写されたなんとも不思議な情景に驚き、「いつならこんな風景を見ることが出来るんですか?」 とお尋ねしたところ、「10月末から11月の初旬にかけてです。しかし、
全ての条件が重なった時でないと、この風景は見られませんよ。だからこういった写真を撮りたいために、私は美瑛に移住して来たんです」」と言われた。
そんな経緯があっての今回の美瑛訪問となったわけであるが、まさかここまで様々な条件が整って撮影出来るとは思わなかっただけに、大感激であった。特に驚いたのは
、美瑛の写真家が撮られた写真には、手前の斜面には雪はなかった。今回はその積雪がさらに加わっているのだから我ながら驚きである。
なお、手前の斜面に雪が残っているのに、彼方の小麦畑の雪が消えてい
るのは、農家の方にお聞きすると、早めに蒔いた麦が成長期に入っていて
、そのエネルギーで積雪を溶かしてしまったからではないか、とのことであった。斜面が北向きであったことも影響しているのかもしれない。
それにしても、ぶっつけ本番で訪ねたその日に、これだけの写真が撮れたことはまさに奇跡である。
撮影前日の4日は雪交じりの曇り空、翌日6日の昼には雪は解けてしまったようなので、この日たった1日のチャンスであったのだから。 どうやら
この写真は、龍神様のお力添えを頂いて撮らして頂いた「天からのプレゼント」の一枚となったようだ。 感謝、感謝である。