蝶を追って100時間
我が国で最もポピュラーな蝶といったら「モンシロチョウ」と「モンキチョウ」
。北海道から沖縄まで日本全国、どこでもその姿を見ることが出来る。しかし、ヒラヒラとせわしく飛ぶ姿は見ても、花にとまり羽を広げた姿を見た人は少ないかもしれない。
確かにモンシロチョウの飛んでいる姿や羽を閉じて止まっている姿は白く見える。しかし、羽を広げた姿を見ると、雄はほぼ白色に近いが、雌は灰色を帯び、黒い班紋を付けてい
て決して白一色ではない。また、モンキチョウは黄色い羽の蝶だとばかり思っていたが、雌はモンシロチョウの雄によく似た白色の蝶である。
蝶を追っていて一番戸惑うのは、羽を広げた姿と閉じた姿がまったく異なることである。 キタテハとクジャクチョウはその代表的な蝶で、写真40と
41、写真58と59、60を見比べて頂ければ
その違いを実感されるはずだ。両者の表と裏の羽の模様は同じ蝶とは思えないほど、異なった姿をしている。羽を広げたツバメシジミの姿(写真F)も、羽を閉じた状態(写真E)からは
、ちょっと想像できない姿をしている。
よく似た姿の蝶が何種類かいるときは、名前をつけるのに一苦労する。中でも、タテハチョウ科のヒョウモン類
(写真L〜N)やジャノメチョウ科のジャノメ類(写16〜24)は、よく似ていて判断がつけにくい。羽の色だけでなく、紋の形までよく似ているので、慣れないと同じ種に見えてしまう。
名前を判断するのに決め手となるのは、体長と班紋の形や数である。斑紋は写真を見れば後でも分かるが、大きさはそうはいかない。そのために、撮影した後すぐに、体の大きさをメモしておかないと後で苦労することになる。
同じ科目でも、MサイズとSサイズにまたがっているものもあるからだ。
「夜の蝶」には関心が深かったが、昼に舞う「野の蝶」にはあまり興味を持たなかった私は、長い間、家の回りを飛び交う白い蝶はモンシロチョウで、黄色い蝶がモンキチョウだと思い
込んでいた。思い込みとは恐ろしいものである。
齢(よわい)を重ねた今になって、ようやくそれが間違いであることに気づくことになったというわけである。
蝶を撮影していて大変なのは、目当ての蝶がいつまでも止まらないときである。そうした種ほど止まっても、すぐに羽を閉じてしまうことが多い。一番苦労したのが、最もポピュラーなモンシロチョウとモンキチョウであった。
この2種はめったに羽を広げて止まることがないからだ。
6月始めからから7月後半まで、およそ1ヶ月半、その間の撮影時間は100時間は超しただろうか。
しかし、時間を取ったのは撮影時間より、写真の整理と名前の特定の方であった。昆虫図鑑やガイドブックなど8冊の本と首っ引き、悪戦苦闘の結果、どうにか名前を探し出したが、
名前の見つからなかったものもあるし、特定した名前にも間違いがあるかもしれない。お気づきになられた方は教えて頂ければ幸いである。
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@ モンシロチョウ
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A モンシロチョウの雌(上)と雄(下) |
B モンキチョウの雌 |
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C モンキチョウの雄 |
D 羽を広げた「モンキチョウ」
の雄と雌
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E 交尾する「ツバメシジミ」 |
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F 羽を広げた「ツバメシジミ」
の雄 |
G ゴマシジミ |
H 羽を広げた「ゴマシジミ」
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I クロツバメシジミ
羽を広げた姿は「ゴマシジミ」
によく似ている
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J ベニシジミ |
K ベニシジミ
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L ツマグロヒョウモン |
M ミドリヒョウモン |
N ウラギンスジヒョウモン
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O ヒカゲチョウ
(ナミヒカゲ) |
P ヒメウラナミジャノメ(雄) |
Q ヒメウラナミジャノメ(雄)
表と裏の斑紋が異なる
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R リュウキュウヒメジャノメ
リュウキュウの名が付くが
本土にもいる。
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S ヒメキマダラヒカゲ
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21 サトキマダラヒカゲ
(or キマダラモドキ) |
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22 ジャノメチョウ
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23 ウラジャノメ |
24 ヒメジャノメ |
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28 アメリカシロヒトリ
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29 マドガ |
30 トラガ |
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37 羽を閉じた「サカハチチョウ」 |
38 スジグロシロチョウ
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39 ウスバシロチョウ |
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40 キタテハ |
41 羽を閉じたキタテハ |
42 アサギマダラ
1500`も移動することで
知られている「旅する蝶」
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43 イチモンジセセリ(雌) |
44 イチモンジセセリ(雄)
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45 マダラセセリ
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46 クロアゲハの雌
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47 クロアゲハの雄 |
48 ナミアゲハの雄 |
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49 オナガアゲハ
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50 カラスアゲハ |
51 キアゲハ |
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52 ダイミョウセセリ |
53 ダイミョウセセリ
(関西型 撮影地・福岡))
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54 オオイチモンジ |
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55 オオミスジ |
56 羽を閉じた「イチモンジチョウ」
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57 イチモンジチョウ |
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58 クジャクチョウ |
59 羽を閉じた「クジャクチョウ」 |
60 クジャクチョウ
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61 スケバハゴロモ
前ハネが透明で透けて見える
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62 イシガケチョウ
(撮影地・福岡) |
63 アカタテハ |