先日、伊豆にある河津桜の見学に行ってきた。桜の花見と言えば3月末から4月にかけてというのが一般的である。ところが河津桜は2月に入ると咲き始めるので「早咲き桜(かわずざくら)」としても有名である。ただ今年は平年より気温が低かったため開花が遅れ、訪ねた3月3日頃がちょうど見頃となっていた。
場所が伊豆半島の東海岸に面しているため、我が家からは車で4時間半程を要したが、着いてみると海に流れ込む河津川の両岸に沿っておよそ4キロ、ピンク色に染まった
「河津桜」の見事な景観が広がっていた。川沿いに咲き乱れるその本数は850本に達するというから驚きである。
これまで桜の撮影には何回となく出かけてきたが、これほどの見事な景観を目にしたのは初めてであった。咲き誇るその姿は壮大にして華麗、掲載した写真を見て頂ければ、読者にもその素晴らしさを実感して頂けるに違いない。同行した孫だけでなく愛犬ルナも喜んでいるようであった。
この「河津桜」の元となった一本の原木は昭和30年(1955年)のある日、飯田勝美氏が河津川沿いの冬枯れの雑草の中で芽吹いていた1mほどの若木を偶然見つけ
、持ち帰って自宅の庭先に植えたのが始まりであった。
小さな草木と違い桜の木であるため、咲き始めたのは約10年後の昭和41年(1966年)の1月下旬、そしてそれを目にした同年4月に勝美氏は亡くなられたとのことであった。その後の調査でこの桜は新種の桜であることが分かり、「河津桜」と命名され「河津町の木」に指定されたようである。
飯田勝美氏のご自宅は川沿いにあり、今もその原木がお庭に大木となって見事な花を咲かせている。下段の写真Eがそれである。
また沿道には黄色に輝く菜の花も咲いていて桜をバックにした菜の花の景観も見事であった。
帰りに伊豆半島の中央部にある「浄蓮の滝」に立ち寄った。この滝が有名なのは滝の両側の玄武岩の断崖に我が国では珍しい特殊なシダが群生しているためである。このシダは我が国で初めてその群落が発見されたことから「ジョウレンシダ」(別名・ハイコモチシダ)と呼ばれており、国内では九州南部と伊豆半島だけに分布しているようである。