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「ポップ・ヴフ」 発祥の地


アンティグアから「トゲのある紫の木の生えた場所」という意味の「チチカステナンゴ」、通称「チチ」と呼ばれる先住民の町に向かった。車でおよそ 2時間半、この町を訪ねる目的はマヤの創世神話である「ポップ・ヴフ」が世に出るきっかけとなった聖トーマス教会を訪ねることと、週に2度開かれる先住民たちの市場の 風景を見学するためである。

マヤの創世記を研究する学者が皆参考にするのが、古代マヤの有名な神話「ポップ・ヴフ」である。この書はマヤ民族の中でも最大の人口と最古の歴史を持つキチェー族に伝わる創造神話であるが、つい最近まで「ポポル・ヴフ」と呼ばれていた 。

実は、この書は題名だけでなく、そこに書かれている内容にも誤訳によるミスがあった ことが判明し、新たな訳本「ポップ・ヴフ」が出版されている。なにゆえ誤訳が生じたのかというと、「ポポル・ヴフ」が18世紀に世に出るまでには、次のような紆余曲折があったからである。

これまでに多くの言語に翻訳されて出版されてきた「ポポル・ヴフ」は、1700年代の初頭に、キチェー語に通じていたフランシスコ・ヒメネス神父が、先住民の神官が語るキチェー語を聞き取 り、スペイン語表記で筆記した写本をさらにスペイン語に訳したものが原点となっているのである。

言うならば、「I want water 」を「アイ ウォント ウォーター」とカタカナで綴った写本を、「水を飲みたい」と日本語に訳しているようなものである。そのため、微妙な言いまわしや、紛らわしい発音の言語を正確に翻訳するには相当の無理があり、口伝された神話の内容がどこまで正確に伝えられているかという点で多くの問題があったとしても、致し方なかったのである。

特にキチェー語の音声学的表現は非常に複雑で、音声学について高度な知識を持った者でも、それを西欧のアルファベットで表示するのは至難の技だと言われていることを考えると、ヒネメスの写本やその訳本に、多くの過ちがあった点は頷けることである。




      「ポポル
ヴフ」の日本語訳

 

現に、今回の旅で、私自身がマヤの先住民・キチェー族の人たちと接してみて、彼らの語るキチェー語の中に、我々の持つ発生言語に置き直すことが出来ない言葉がたくさんあった ことは事実である。

正月のテレビの中でも登場しているが、「トウモロコシ」をカタカナ表記すると「アッハッ」となるが、先住民が発するその言語は、のどの奥に引っ掛かったような独特の発生 音であるため、正確にはとうてい日本語では表示できないのが本当のところである。

これは、日本語に置き換えるのだけがむずかしいというわけでなく、スペイン語やフランス語を話す西洋人にとっても同様で、発生言語を表記文字に置き換える際に発生する致命的な問題点が 、どの言語の場合にも発生するのである。

ということで、近年に至って、この過ちに気づいた生粋のマヤ人の言語学者で、シャーマンでもあるアドリアン・イネス・チャヴェス氏によって訳された、『ポップ・ヴフ』が出版されるところとなったわけである。

     

この本を読んだマヤの研究者である実松先生は著書の中で、その内容はそれまでの訳とは、似ても似つかなぬものになっていると言っておられるところをみると、前訳の「ポポル・ヴフ」には相当の誤訳があったようである。

そもそもこの神話の題名として長い間使われ続けてきた「ポポル・ヴフ」という名前からして、「ポポル」という言語自体がキチェー語には存在しない意味不明の言語なのである。

マヤ人に言わせると、「ポポル」は「時間」とか「出来事」を意味する「ポップ」を誤って伝えたもので、「ヴフ」は「本」とか「書物」という意味である。したがって、「ポポル・ヴフ」は正確には「ポップ・ヴフ」となり、「聖なる時間の書」とか「古代の出来事を記録した本」ということになる。

新たなマヤ文明の研究の土台となっている「マヤ・トルテカ文明起源説」を発表したビクトリアーノ博士とのインタビューがこのあと第4回目に登場するが、博士の説く「マヤ・トルテカ文明起源説」の元となっているのが、アドリアン・イネス・チャヴェス氏が世に出した新訳「ポップ・ヴフ」なのである。

フランシスコ・ヒメネス神父が、先住民の神官が語るキチェー語を聞き取って筆記したのが、今回訪れた聖トーマス教会であった。そんなことで、この教会は是非撮影の対象にしてみたいと思って訪ねた次第である。ただ時間の関係でテレビでは「ポポル・ヴフ」と「ポップ・ヴフ」の関係を語ることが できなかったので 、HPや講演会でお話しすることにしたわけである。

詳細は拙著『謎多き惑星地球』に記しているので、マヤの歴史の謎解きに興味を持たれる方は、是非読んでみられたらいかがだろうか。従来のマヤ 歴だけを元にしていたのでは、今話題になっている「2012年問題」の原点である「マヤの長期暦」を十分に読み解くことは出来ないからである。

 

色とりどりのウイピル


市場に出かけてみると近隣のさまざまな部族の売り手、買い手の人々でごった返していた。なんといっても驚かされるのが、女性たちの身に付けている カラフルな衣装である。何ともはや色艶やかで目の保養には最高である。

彼女たちが着ているマヤの民族衣装ウイピルは、部族ごとに色やデザインが微妙に違っており、その種類はおよそ80種類に及ぶと言われている。かっては部族ごとに 分かれていたウイピルであったが、最近、若い女性たちは、よその部族の素晴らしいウイピルを買い求めて着ること もあるようなので、ウイピルで部族(種族)を知ることは出来なくなってきているようである。

ウイピルもカラフルで素晴らしいが、刺繍布も素晴らしい。それだけに値段も結構高い。因みに、撮影中に話を聞く必要があって声をかけた女性の売り手が手にしていた 、80センチ×180センチほどの刺繍布の値段は、1000〜1400ケッアル(1万5000円〜2万1000円)ほどであった。

手織りの素晴らしい布であったので一枚買おうと値段の交渉をしたところ、70%掛けぐらいしか値引きしてくれなかった。しかし、グアテマラの空港で同じ大きさの刺繍布が2000ケッアル(3万円)を超していたので、 それでも安い買い物だったようである。

因みに、テレビに登場したこの刺繍布は今我が家では壁掛けに使っているが、なかなか素敵で来客の目を楽しませている。

 

 



 


聖トーマス教会

教会はキチェー族の祭祀場
の上に建てられている。
スペイン人とキリスト教の
傲慢さを見せられた思い
がした。
 


教会の入り口

先住民たちは完全なキリスト
教徒と化したわけではなく、
マヤ宗教の伝統を受け継い
でいる人も多いようである。
 

教会の内部

グアテマラの地にはキリ
スト教はあまり似合いそう
もなさそうである

 



 


カラフルなウイピルや
織布が飾られている
 

先住民が身に付ける衣装は
部族によって分かれている。

素敵なウイピルを
着たキチェー族の老婦人

 



 


仲のよい兄妹が店番をして
いた。日本人の子供たち
から、こうした純朴なあどけ
なさが消えかかっている。
 

チチカステナンゴの街
でも3輪車のタクシーが
走り回っていた。


標高が2000mを超す
チチカステナンゴの夜は
結構冷え込むので、暖炉が
欲しくなる。
 

 



 


ホテルの庭に咲く
カラフルな花 @
 

A

B

 

 

 

 

 

 

 

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