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左側1号神殿(ジャガー神殿)と2号神殿(碑銘の神殿)、
右側3号神殿 (高さ70mの4号神殿から撮影)
ティカル遺跡に向かう
今回の遺跡撮影のハイライトであるティカル遺跡を訪ねるために、グアテマラ・シティーのラ・アウロラ空港からフローレス空港に向かう。飛行機は一日5便ぐらいが運行しているようだが、乗客が少ないと欠航になるので、注意が必要だ。我々も朝の一便で飛ぶ予定だったが、欠航で結局夕方の便になってしまった。
飛行時間は約1時間。ティカル遺跡への拠点となっているのがペテン・イッツア湖に浮かぶ小さなフローレス島。ホテルやレストランが集中している観光の島で
、夕陽が美しいことでも知られている。車中からペテン・イッツア湖の湖上に映るそんな夕陽を眺めながら、ティカル遺跡の宿泊先に向かう。
空港からおよそ1時間半で遺跡の入り口に着く。ホテルはさらに10分ほど走った先にあり、そこは熱帯雨林のジャングルのまっただ中ある。撮影機材や
手荷物を降ろして早速夕食。食事が運ばれてくるのを待っていると、そこに登場したのが巨大なバッタとカマキリである(写真C、D)。アンティグアやチチカステナンゴと違ってティカル
遺跡周辺は海抜250m地帯。
緯度が低いだけに一気に温度が上がる。したがってそこに棲む昆虫類も色彩豊かで大型である。
食事が済んで床に就く前、明日の撮影の準備をしていると突然停電。回復する様子がないので、ベットに入るしかない。旅の疲れが出てぐっすり。翌日
、早起きしてシャワーを浴びていると、なにやら足下で動く者がいる。メガネを外しているのでなんだかよく分からない。ティッシュを取ってつまんで洗面台に
持って行ってよく見ると、大きな虫のようである。
慌ててメガネをかけて見てみると、なんとそれはサソリ!! 巨大なスターピオンである。撮影スタッフが飛んできて早速カメラを回す。
「それにしてもよく刺されなかったものですね〜」と皆が口をそろえる。冗談じゃない!もしも刺されていたら、とても撮影どころではない。いやはや危ないところであった。それにしてもよく平気でつまんだものだ。
「知らぬが仏」とはこのことを言うのだろうか。
ティカル遺跡撮影秘話
熱帯雨林の中に忽然と姿を現すティカル遺跡。迫り来る巨大神殿遺跡群を前にすると、一瞬言葉を失い、立ちすくんでしまう。今を去ること1500年前、この文明はいったいどれほどの威勢を誇っていたのだろうか。
遺跡の中心部は「グラン・プラザ」と呼ばれる地域で、そこは広場を挟んで向かい合う高さ51メートルの「1号神殿」(ジャガー神殿)と高さ38メートルの「2号神殿」(碑銘の神殿)、それに「ノース・アクロポリス」、「セントラル・アクロポリス」、「グレート・プラザ」と呼ばれる建造物複合体から成り立っている。
さらに、その一角を取り囲むように、高さ55メートルの「3号神殿」、高さ70メートルの「4号神殿」などのひときわ目をひく巨大建造物が広範囲に点在しており、発掘されたマヤの遺跡の中で
最大級の遺跡の偉容を誇っている。ティカルの支配者たちは天の神々に願いを届けたい一心で、次々とこうした高い神殿を作り続けたのだろうか。
遺跡探索で大事なことは、探索には出来るだけ車に頼らず、歩いて回ることである。歩いていると、突然目の前に現れる巨大神殿やピラミッド
の姿が驚きや好奇心をいっそう募らせることになるからである。
テレビ撮影は、当然遺跡の公園入口から歩いて入ることになる。隠しマイクをつけて探索する私をカメラが執拗に追い続ける。歩いていると所々でディレクターから「ここで、1号神殿についての解説をお願いします」、「2号神殿を眺めた感想を語って下さい」と要求される。
話すのはいいのだが、むずかしいのはしゃべる時間を限定される点である。遺跡撮影2日目の夕方、70メートルの高さを誇る4号神殿に登り、ジャングルに浮かピラミッド神殿の景観を撮影し終え、
ホッとしながら沈む真っ赤な夕陽を眺めていたときである。
突然、ディレクターの山口氏から「ティカル遺跡を訪ねた感想を2012年問題に絡めて話して下さい」という要請が出た。突然のことなので、少し時間を下さいと言ったところ、「せっかくの夕陽をバックに撮りたいのですぐにお願いします。時間は3分間でまとめて下さい」という。
こういうときには思いつくままに語るしかない。ただティカル遺跡から2012年問題に結びつけるところがしんどいところである。何とか語り終わり、
しゃべった時間が気になったので尋ねたら、「ちょうど3分です。OKです」という。ホッとする瞬間である。
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@
グアテマラ・シティーの
ラ・アウロラ空港
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A ペテン・イッツア湖
の夕焼け |
B ペテン・イッツア湖の夜景 |
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C
巨大バッタ
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D 巨大カマキリ |
E
サソリ(スコーピオン)
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遺跡の入り口近くにある
セイバの大木。
エリザベスさんが、この木
はティカル遺跡の守り神ですと話して下さった。
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2号神殿(手前)と1号神殿
を遺跡の入り口から見る。 |
1号神殿を背景に
ドン・アレハンドロと |
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1号神殿(高さ41m)
700年頃に建設され
「ジャガー神殿」と呼ばれている。
ここには
登ることは出来ない。
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2号神殿(高さ33m)
神殿上部のレリーフが
見事なことから、「仮面
の神殿』と呼ばれている。 |
ノース・アクロポリス
王の命令や神託が下され
た場所。
いくつもの建造物が何層にも
積み重なり、一番上の建造物
は900年頃、最古のものは
B・C200年頃といわれている。
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ノース・アクロポリス A
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ノース・アクロポリス B
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イタリア生まれのオーストリア人
テオベルト・マーラー |
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