唐松林の紅葉
11月1日、日頃、写真撮影の指導を頂いている写真家の桑島献一氏と八ヶ岳の東山麓に紅葉の撮影に出掛けた。先ず目指したのは、長野県の川上村の外れ
に位置する標高1740メートルの三国峠。
陽の当たり具合を考えて早朝6時過ぎに出発。途中、川上村で唐松林に朝霧が漂い、陽が射す幻想的な場面に出くわした。
峠を標高1400〜1500メートルまで上がると、モミジや白樺の紅葉はピークを過ぎていたが、唐松はちょうど見頃で、艶やかな黄金色に輝
いた葉が目を楽しませてくれた。唐松の撮影は枝や葉がひとかたまりに固まっているように見えるため、ピントが鮮明に出ず、ピントボケ写真に見えるので難しい。
3枚目の写真がその典型である。三脚を据えリモコンで撮っても、この程度にしか撮れない。
読者にはこうして私の写真を見て頂いているが、私がカメラらしいカメラを手にしたのは今から10年ほど前、出始めのデジタルカメラ
が最初であった。写真好きの娘に手ほどきされ、どうにか撮影の仕方を覚えて出掛けた先がエジプト、ペルーなどの遺跡群。あれからわずか10年足らずだが、撮影地は南極から北極、アマゾン
と世界にまたがり、撮影した枚数は数万枚に達しているだろうか。
旅に出るたびに何千枚かを撮影してきているわけだから、そのくらいの枚数になって当然である。フィルムカメラの時代ではとうてい叶わぬことであったが、幸いデジカメの時代に入っていたので数を撮るうちに何とか人並みの写真が撮れるようになってきたというわけである。どの道もそうだが、写真道もまた難しい理屈より数多く
撮影して体で覚えた方が早道のようである。
ところで、「三国峠」と呼ばれる峠の名前は多くの読者が耳にされたことがあるのではなかろうか。その名は昔の国々、つまり信州や越後、甲斐
といった3つの国境にまたがる峠を指している事からつけられたもので、北海道から大分県に至るまで日本全国に9つの三国峠がある。
その多くは「みくにとうげ」と呼ぶが、中には「さんごくとうげ」と呼ばれる峠もあるようだ。
三国峠から戻って、山梨県の東部に通じる標高2365mの大弛み峠(おおだるみとうげ)に向かおうとしたが、先の台風の大雨で土砂崩れが起き通行止めとなってしまっていた
。そこで、廻り目平キャンプ場で車を止め奇岩の連なる岩山を背景に白樺やモミジ、唐松などの紅葉を撮影。
キャンプ場は千曲川の源流が流れる金峰渓谷沿いにあり、自然豊かな川上村の中でも特に景観の素晴らしい場所である。読者には八ヶ岳東山麓の
唐松林の紅葉を楽しんで頂こう。