標高1000〜1500メートルに広がる八ヶ岳南麓一帯に赤と黄色の彩りが始まった。その先導役はツタウルシ。赤松に絡みついたツタウルシの葉は今が紅葉の真っ盛りで、ヤマモミジ、
イチョウ、ダンコウバイがそれに次いで色づき始めている。
11月に再販されることになった『最後の楽園・PERU』の追加写真の整理や原稿書きに追われる日々であったが、合間を縫って3日ほど目の保養と写真撮影のために山麓を歩いてみた。
標高1200メートルの赤松林の中には、見事に紅葉したツタウルシが目にとまるのだが、ただそれを遠くから撮影したところで絵にはならない。周囲の赤松の木の枝が邪魔をして雑然とした写真になってしまうからである。
絵にしようとすると、松林の中に入ってその側に立って見上げるような感じで撮影するしかない。しかし、それがことのほか大変なのである。いざ入ろうとすると、小さな灌木や背の高い雑草が生い茂っていて容易に入れないからである。
ニュージーランドの「龍の巣」に向かう途中の難儀に比べればものの数ではないが、それでも注意しないと漆(うるし)の木の葉が顔や手に絡みついてしまう。顔がかぶれてしまったらしばらくは人様の前に出られなくなってしまう。名古屋と大阪の講演会は延期である。
そうなっては大変なので用心しながら三脚で枝葉を払い、何とかツタウルシの下にたどり着いたものの見上げてみると絵にならない木も多く、何本かの木を渡り歩いて、どうにか撮影できたのが下の2枚の写真である。