ナスカからリマへ向かう途中に、パラカス半島がある。
半島のペヘレイ岬に、ナスカの地上絵によく似たカンデラブロ(燭台)の絵が描かれていたことを思い出し、この絵を見ようと急遽予定を変更して、パラカスに寄ることにした。
地上絵を見るには、エル・チャコ港から船に乗り、海上から眺めるしか手がない。小型船に乗っておよそ20分ほど行くと、海岸沿いの丘陵に有名な燭台の絵が見えてきた。
地上絵の姿が西洋のローソク立てに似ていることから「カンデラブロ(Candelabro / Candelabrum」(燭台)と呼ばれているが、「生命の樹」とも呼ばれることがある。
全長183M、幅70M、線の深さ1-1.2M、線の幅4Mの巨大な地上絵は、ナスカの地上絵に劣らぬほど壮大である。ナスカとの違いは、丘陵の傾斜地に描かれているため、上空からでなくても眺められる点である。
絵は天気が良ければ、20キロメートル先からも見える。そのため、スペインの統治時代に漁に出た船の目印として描かれたとか、プレ・インカ時代のものとか様々な説があるが、確かなことは分かっていない。
スペイン人やインカ人にこれだけのものを造る技術があったとは思えない。またプレ・インカ時代にも、ここに描かれた燭台に似たような絵柄が、他に一切残されていないことから、ナスカと同様、先史文明の遺産である可能性が強いようだ。
10年ほど前に、若者が乗ったバイクで傷つけられ、地上絵はその輪郭が崩れてしまっていたことを覚えている私にとって、蘇った地上絵は驚きであった。いかなる方法で修復したのだろうか? 機会があったら調べてみたいものだ。
船足を早めて30分ほど海岸を離れると、バジェスタス島に着く。
この島は、「リトル・ガラパゴス」の別名通り、島を一周すると、荒波に削られた岩の上に群生する、ペンギン、海鳥、オットセイなどの鳴き声が響き渡ってうるさいほどであった。
本来寒い南極にいるはずのペンギンが、暑いペルーに生息しているのは、冷たいフンボルト海流に乗ってこの島にたどり着いたものと考えられている。
やはりペンギンは、南極が似合っている。