英国のEU(欧州連合)からの離脱の期限が2週間半後に迫る中、英国議会で離脱案が採決されるのか、否決されて合意無き離脱となるのか、今ヨーロッパのみならず世界中の関心が高まっている。
離脱協定案の採決は日本時間の明日早朝に予定されていたのだが、その直前に英国のメイ首相がフランスを訪問し、EUのユンケル委員長と協議することとなった。もしかすると、EU側からの歩み寄りが伝えられることになり、英国議会での離脱協議が進展することになるかもしれないと、新たな注目が集まっている。
私は離脱がスムーズに実施されることは難しいのではないかと考えているが、いずれにしろ明日にはユンケル委員長との協議の内容や英国議会での修正案に対する採決の結果が明らかとなり、その様子をお伝え出来そうである。
一方、世界が注視する事態がトルコと米国との間で発生するところとなってきた。これから先、トルコは米国とロシア、いずれの国につくことになるのだろうか?
NATOの加盟国であり、米国と同盟関係にあるトルコ。そのトルコが最近、米国やNATOと対峙するロシアとの親交を深めてきていることについては、既にお伝えしてきている通りである。 親交の一つとして、トルコ政府はロシア製の地対空ミサイルS400を購入する計画を進めてきていることについても既にお伝えした通りである。
ところがここに来て、米国の政府高官が「もしもミサイルS400を購入をするようなら、トルコが100機を調達する予定の最新鋭ステルス戦闘機F35の売却を中止する方針」を明らかにすることとなった。昨年12月に国務省が承認した地対空誘導弾パトリオット3の売却も中止することになるようである。
ステルス戦闘機は米国だけが持つレーザーによる探知を防ぐ機能を持つ戦闘機。一方ロシア製の地対空ミサイルS400はロシアが誇る最新鋭のミサイルで、ステルス戦闘機を探知できるミサイルといわれている。この世界最先端の戦闘機とミサイルをトルコは保有しようとしているわけである。米国とロシアが新冷戦時代入ろうとしている今、こんなことはトルコ以外には出来ないことである。
特に米国が恐れているのは、トルコがS400とF35を保有することによって、F35の飛行をレーザーでとらえるためのデーターを保有し、集積してしまうことであるようだ。いずれにしろ、これから先、米国とトルコとの軍事的関係はギクシャクしてくることことは、間違いなさそうである。と同時に今回の米国の対トルコ政策は、ロシアとトルコとの関係をより深めることになるかもしれない。
米国にとってトルコから貸与されている米軍駐屯地は、中東紛争に関わる上で重要な拠点であることは間違いない。また、近い未来に懸念されているハルマゲドン(世界最終戦争)に際して、ロシアがイスラエルに侵略しようとする時、トルコは地理的に重要な通過点となることも確かなだけに、イスラエルを守ろうとしている米国にとって、一歩判断を間違えると致命的なミスを犯すことになるかもしれない。