指輪みたいな金環食
先月26日(日本時間同じ)インドネシアのジャワ島西部周辺で、太陽の中心部が月に隠されてリング状になる「金環日食」が観測された。
日食は、太陽と地球の間に月が入り太陽が隠れる現象だが、皆既日食と金環食の違いは、月の位置の太陽からの距離による。太陽に近ければ金環日食となり、地球に近ければ皆既日食となる。
先月のHP「天文写真」には、写真家の宮城隆史君が撮影した素晴らしい皆既日食の写真を掲載させて頂いたが、ジャワ島に行かれた宮城君から、今回も素晴らしい写真が送られてきたので、早速掲載させてもらうことにした。
下段の写真には、薄い雲を通して柔らかな金色に輝く指輪状の見事な太陽リングが写っている。左下から次第に月が太陽に重なり始め、真ん中でリング状になった後、右上に抜けていく金環日食の経過
を見ることができる。
地球から月までの平均距離は38万4400kmであるが、月が地球の周囲をまわる軌道は楕円形をしているため、地球に最も近い場所と遠い場所とでは、距離に5万kmほどの差がある。そのため、地球上のどの場所で金環食を眺めるかによって、リングの厚さが変わってくることになる。因みに今回の金環食では、太陽の95%が食された(隠れた)ようである。
真ん中の写真を見ると、リングが少し変形しているのが分かるが、それは、今回撮影した場所が、「太陽」と「月」と「地球」を結んだ中心線から少し南に面し
ていたからである。宮城君の話では、真ん丸のリングを狙って中心線上にある山間部に入った撮影隊は、あいにくの雲に遮られて、撮影が出来なかった
と言うから、今回は真円のリングは撮影できなかったようである。
そのため、宮城君の撮影した写真が共同通信社を通じて、世界中に配信されたので、皆さんが新聞やテレビでご覧になったのは、彼の撮影した写真であったというわけである。
この日は、インドネシアでは旧正月の祝日であったため、多くの人々が天文ショーに見入ったようである。撮影の合間に宮城君が撮ったスナップ写真を一緒に送ってくれたので、
掲載させて頂いた。さすがわプロカメラマン、人の一瞬の表情を見事に捉えている。中でも、象に乗ったエレファントマンと幼い子供の表情が最高だ。
今年7月22日には、トカラ列島の悪石島で今世紀では最長の6分25秒間も皆既日食が見られようだ。これ程長い皆既日食は22世紀まで100年以上起こらない為。世界中から注目が集まっている。しかし、
悪石島は小さいな島のため観測人数に制限があり、抽選で許可がおりることになっている。私も申し込んでおいたので、もしも参加の許可がおりたら、宮城君と一緒に撮影に出かける予定である。
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「金環日食の経過」
真ん中の金環日食の最大を挟んで、両サイドが月と太陽の外輪が触れる第2接触(左)、
第3接触(右)と呼ばれる時の写真である。
うす雲を通しての撮影であったが、特殊な画像処理によって、うす雲とそれによる
ハレーションを除去し、クリアな晴天の条件で撮影した様に修正している。
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望遠レンズがセットされた
宮城君のカメラのファイン
ダーに、携帯電話のレンズ
をくっつけて撮影する女性
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楽しげに日食を
観測する少年 |
日食美人 |
スマトラ島の母と子 |
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正月料理を屋外で
食する家族
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猫と遊ぶ少年たち |
象の上で一服する
エレファントマンの
表情が最高 |
おどけない顔が
なんとも可愛らしい |
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