氷上キャンプと雪山登山の疲れもあって、今朝は7時半過ぎまですっかり寝込んでしまった。
気になる天候は薄曇り。時々日が射して南極にしては穏やかな天気。今日も探索が楽しめそうだ。とにかく天候に恵まれていることが何より有り難い。大半のツアーが吹雪や冷たい雨に遭遇するという話を聞くにつけ、今回のツアーの幸運が身にしみる。
本日上陸するアルコック(Alcock)島は、他のクルージングや極地観測隊が上陸したことのない、いわば前人未踏の地であるらしい。今回のクルージングの企画会社のペレグリン社はアドベンチャー・スピリットに満ちた会社らしく、安全第一を掲げる他の会社と違って、探検心が旺盛のようだ。
大陸にしろ、島にしろ上陸の可否を決める条件として、
@ ソディアックで上陸する海岸があること、
A ペンギンやアザラシなどのルッカリーがあること、
B 登頂できる適当な高さの山があってそこからの展望が優れていること・・・・・等
があげられるようである。
そういった意味で、今回上陸したアルコック島はまさにうってつけの未踏の島であった。
特にアルコック島には、岸壁にコケ類や南限の草、南極コメススキ、それに珍しい南極青海苔(あおのり)を観察することが出来て、この島に上陸しただけの十分な価値があった。
島の山頂付近には、ヒゲペンギンのルッカリーがあり、換羽の終わっていない子供ペンギンが雛特有の綿羽毛を背中に残した状態で、雛集団を作っていた。お腹がすいて親の帰りが待ちきれない雛たちが十数匹まとまって、海に向かって積雪の急斜面をよちよち歩きで降りていく。
中には雪に滑って10メートルも尻餅ついて落ちていく雛もあって、眺めている私にとっては楽しい風景であった。それにしてもペンギンにはやはり雪がよく似合う。雪の中の子供ペンギンは一段と可愛く見えた。