ジェンツーペンギンの親子特集
夕方17:30 クバービル(Cuverville)島へ上陸。ジェンツーペンギンのルッカリーが2カ所ある。今まで見てきたルッカリーの中では最も数が多いように見えた。夕方のこの時間は、朝から餌を求めて海へ出掛けていた親ペンギンが、雛に餌をやるために戻ってくる時間帯で、餌をせがむ雛の可愛い姿を観察することが出来た。
親鳥の帰りを待ちわびて、大きな口を開けて「ピィッ!ピィッ!」鳴いている雛のもとへ、餌をお腹にいっぱいためた親鳥が、海岸から上がってくる。数羽の雛が一斉に親鳥めがけて駆け寄ってくる。
その中から自分の雛を見分けた親ペンギンは、雛に餌を与え始はじめる。雛は親鳥のくちばしやのどをさかんにつつき始める。親はその刺激で、自分のお腹の中にある未消化物を吐き戻し、口移しで餌を与える。
雛が親の口の中に大きく頭を突っ込んでいる姿を見ると、親が雛を食べてしまうように見えて驚かされる。可愛い子供は「目の中に入れても痛くない」と言うが、ペンギンの場合は、「口の中に入れても痛くない」というところだろうか。
不思議なことに、親ペンギンの胃は子育て中は消化液が出ないようになっているらしく、海で獲った餌は未消化の状態で胃の中に残っている。それを吐き出して雛に与えるわけである。
胃の中がカラになると親は雛のもとを離れようとするが、満腹感を得ていない雛は更に餌をねだって親の後を必死に追っていく。その姿がなんとも微笑ましく笑いを誘う。
それにしても最盛期のルッカリーには数万頭の親子がいるが、そんな数多い親子の間でお互いを探し出すのは大変なことだろうと思われるが、鳴き声だけでそれが可能だというから不思議だ。
雛は卵からかえった後すぐに短い綿羽から最初の羽がわりをして、ふわふわの羽毛(第二幼綿毛)になり、その後巣立つ前にもう一度防水の羽毛に生え変わって海に出ていく。
この島で目にする雛は二回目の換羽を終え、防水の羽毛になっているものの、まだ海に入って餌を取るまでには至っていない巣立ち直前の雛たちのようである。
可愛いペンギン親子のスナップをお楽しみ下さい。