心が清められる厳冬の滝
名古屋、大阪の講演を終え昨夜遅く帰宅。両都市も思っていた以上に寒かったが、名古屋を出るときの温度はまだ氷点下前後、車を走らせ標高が高くなるにつれ外気温は次第に低下。長野県域に入る頃から夜明かりの中、雪の白さが目に付くようになり、我が家に着いた深夜は、マイナス10度。やはり寒さの程度が違った。
先日「吐竜の滝」を訪ねた。八ヶ岳山麓・清里高原の川俣川に沿って流れ落ちる幾つかの滝の中で、最も美しいと言われている滝である。落差は約10m、小さい滝が何段にもなって落ちる姿は派手さこそないが、季節ごとの景色を作り上げ、日本庭園のような趣がある滝である。
緑に覆われた岩間から絹糸のように流れ落ちる神秘さから「竜の吐く滝」と名付けられたと言われている。この時期、氷結した岩肌と氷柱の間を流れ落ちる滝は薄青く輝き、
寒さの中でなんとも言えない清らかさを漂わせている。
毎日のように世界各地で続く争いごとや殺傷事件を目にし、耳にしていると、いやが上にも心が傷ついてくる。そんな中、滝の前にたたずむと、傷ついた心が洗われるようで
清々しい気持ちになってくる。こうした自然の持つ清らかなエネルギーは、今の時代を生きる人間には何よりの宝物のように感じられる。我が国にまだこうした心を癒やしてくれる
、手づかずの自然が残されているのは、幸せなことである。
この日たまたま滑落事故があったようで、山梨県警のへりが救助活動に当たるのを目撃することとなった。ドキドキしながら見ていると一機のへりが飛来し、長い間、墜落現場の上空をホバリングしていたが、
滑落者を発見したらしく、へりからロープを伝わって救助隊員が降り、十数分後に無事被害者を救助し引き上げることが出来た。
滅多に遭遇することのない雪山での救助活動を目にすることになったわけだが、事故に遭われた方が無事救助されたことが、何より嬉しかった。