八ヶ岳山麓から遠望した富士の姿、写真集『神々の楽園・八ヶ岳』に掲載した富士山こそが私の慣れ親しんできた富士の姿であった。
長い間山梨県に住んでいながら、なぜかこれまで、麓まで足を運び、間近から眺める富士山の雄大な姿を眺める機会が少なかったからである。
しかし、昨年の夏頃から霊峰・富士を間近から撮影してみたいという思いがつのり、朝霧高原や富士五胡周辺に足繁く通うようになった。
それは、昨年の春頃から富士山噴火の兆候が数多く寄せられ始め、いつまでもこの美しく雄大な富士の姿が見られるとは限らないと、思うようになったからである。
富士山を囲む4箇所でマグニチュード6を超す地震が発生したのは、3・11の東日本大震災のあと1ヶ月ほどした頃であった。富士山の噴火は過去の歴史をひもとくと、大地震発生の後、時をおかず
して起きている。その典型的な例が今から300年前の宝永の噴火である。
地震によって発生する地殻の亀裂がマグマを上昇させ噴火を発生させているものと思われるが、東日本大震災とその後の富士山周辺の地震は
、規模が大きかったのにもかかわらず、奇跡的に噴火を
引き起こすまでには至らなかった。富士山を守護しておられる龍神様のお力が働いたものとお聞きしている。
しかしながら、地震予知の研究者たちや地元の人々から寄せられてきている噴火の前兆と思われる現象は、次第にその数を増して来ているようなので、山頂もしくは山腹から噴煙が上がるのも、そんなに遠い先のことでは
ないかもしれない。
自然災害だけに確かなことは分からないが、今年は星回りが五黄土星、天変地異の発生を予知する年だけに、心の準備だけはしておきたいものである。掲載した富士八景ならぬ12景は、昨年10月から年末にかけて撮影したものである。読者が霊峰・富士の美しい姿を心に刻んでおいて頂くのに、少しでも役立って頂ければ幸いである。