このところ、ロシアとEUに挟まれた西ヨーロッパのウクライナを巡る情勢が混沌として来ており、遠く離れた日本ではよそ事と考えている方が多いようであるが、ロシアと欧米との関係悪化につながる可能性が高いだけに、注目しておく必要がありそうである。
フランスではこうした情勢が原油価格の高騰をもたらし、1バーレルの先物価格が95ドルを超え100ドルに達する厳しい状況に近づいており、市民の石油や灯油の買い占めが発生して市民生活に甚大な影響が出始めている。その結果、市民は車の使用を抑える状況となっているようである。
こうした状況下でかってのソ連時代にウクライナ同様、ソ連
邦に併合させられていたバルト三国の一つであるリトアニアは現在NATO(北大西洋条約機構)に加盟しており、NATO軍の1200人の兵士が駐留しているが、今日のドイツZDFテレビはドイツ政府がそのリトアニアにウクライナの戦闘に備えて新たに350人の部隊を増派することになったことを伝えていた。
それは、もしウクライナにロシア軍が侵攻するようなことになったら、ドイツ軍を投入することになるぞというロシア政府に対する牽制のためである。ただフランスやドイツなどEU諸国はロシアから大量の石油を購入しているため、ウクライナ紛争でロシア軍と戦闘を交えることは避けたいところである。
こうした状況下、ドイツのショルツ首相がウクライナとロシアを訪問し、ウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領と対談し、ウクライナ問題を平和裏に収めようとしている。これで、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が回避されれば良いのだが、一歩間違うと、ロシア対EUとの争いに進む可能性が
あるだけに、事態の進行をしっかり見守っていきたいものである。