ロシア軍がウクライナに侵攻を始めてから2週間、戦闘は北部の首都キエフや南部のマウリポリでは一段とその激しさを増してきており、死者や多くの避難民が発生している。今朝のニュースを見て衝撃を受けたのは、ロシア勢力によってマウリポリでは妊婦が入院している産科小児科病院が攻撃され、タンカに乗って避難する妊婦や生まれたばかりの赤子を抱いて病院から飛びだす主婦たちの痛ましい姿であった。
こうした惨状を目にしながら世界、中でも隣接するEU諸国の停戦に向けての動きは今もなお遅々として進んでいない。ウクライナは現段階ではEUに加盟していないが、今回の騒動の要因となったのはウクライナがEUへの加盟に動こうとしているのにプーチン大統領が腹を立てたからである。そのEUが仲介に動こうとしないのだからあきれる。
EUが動こうとしないのは、EUがロシアとの対立に巻き込まれるのを恐れているからである。しかし、このままロシア軍の横暴が続くようならEU諸国は面目を失うだけでなく、前回も記したように、遠からずして「ロシア対EU」の対立へと向かうことになり、世界を2分する争いに発展することになる可能性は大である。
もう一点気になるのは、ロシア軍が原子力発電所があるチェルノブイリやサポリージャを制圧したことである。チェルノブイリ原発には大量の使用済み核燃料などが保管されており、現在、送電線が損傷した状況下にあるため、そうしたものに対する冷却機能の停止状態が続いているようである。そのためロシア軍の駐留で、もしこのまま停電状況が続くことになるなら、放射性物質が大量に放出される可能性があるだけに心配である。
いずれにしろ、今回の戦闘が加速することになれば、「ウクライナ対ロシア」はやがて「EU対ロシア」へと向かうことになる可能性は大である。それこそが私が一番恐れている点で、その行く先
で待ち受けているのは、米国や中国そして我が国等を巻き込んだ世界を2分する世界的規模の戦争である。
追記
今夜7時のニュースでは、本日行われたウクライナとロシア両国の外相会議では具体的な合意は得られなかったようである。会議はこれから先も続けられるようであるが、交渉が挫折した場合には首都キエフとマウリポリでのロシア軍の本格的な攻撃が始まるものと思われるだけに心配である。