ウクライナに置けるロシア軍による攻撃は発生から半年が過ぎたが、今もなお一向に終わる状況にない。ここにきて不安視されているのは、ザポリージャにあるウクライナの原発に向けて砲撃が行われ、「核燃料貯蔵施設」に4発が命中したとされる情報が伝えられたことである。
ウクライナとロシアは互いに相手国が砲撃したものだとしているが、可能性として高いのはロシア軍による攻撃であることは明らかだ。プーチン大統領は癌に冒されているだけに、自身の統治下にあるうちに侵略戦争を終わらせることを願っていることは間違いなく、そのために手段は選ばない可能性は大であるからだ。
ニューヨークの国連本部で4週間にわたって行われていた核不拡散条(NPT)が、昨日、最終文書が採択できずに決裂したのも、ロシアがウクライナに関する記述に反対したためである。条約は1970年に核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用を3本柱としたものだけに、今回の採択の失敗は「核兵器なき世界」に向けた取り組みを後退させることになるだけに心配である。
前回、「他人事でなくなってきたウクライナ危機」でお伝えしたように、EUからの軍事支援が続くウクライナ軍に対して、
ロシア軍は通常兵器による攻撃だけでは短期間での勝利は難しくなって来ており、更にEUや米国、日本などからの経済制裁によってロシア経済のジリ貧は日増しに進んでいることは確かだけに、今回のウクライナの原発施設に向けての砲撃は戦争の終焉を急ぐための前哨と思っておいた方が良さそうである。