新緑の白馬
かねてから一度訪ねてみたいと思っていた北アルプスの麓・白馬村。そこは長野県北西部に位置し、富山県に隣接した日本海までわずか50キロの地。白馬村(はくばむら)の名前は白馬連峰の白馬岳(しろうまだけ)に由来しているが、呼び名は異なる。
南は御岳山から始まり乗鞍岳、奥穂高岳、槍ヶ岳、常念岳を経て白馬岳へと連なる飛騨山脈。それは別名・北アルプスと呼ばれ、山を愛する人達にとっては憧れの山である。最高峰は北岳に次いで日本で3番目に高い標高3190mの奥穂高。
なんと言っても北アルプスの魅力は白銀に輝く雄大な姿であるが、標高が高い峰が続くため、桜が咲き木々が新緑に燃える頃にも、まだ山頂には雪が残って輝いている
のが魅力的である。
今回、白馬を訪ねることにしたのは、そうした雄大な景観を眺め、麓に広がる花の湿原を散策することともあったが、一番の目的は「ギフチョウ」という蝶を撮影
することであった。この蝶は「春の女神」と呼ばれるだけあって大変美しい姿をしており、蝶マニアにとって憧(あこが)れの蝶である。
ギフチョウはこの地方だけにしかいないというわけではないが、春の花「カタクリ」に止まってその蜜を吸っている姿は他ではなかなか見られない光景である。カタクリの花は昔は八ヶ岳山麓でも見ることが出来たが、今はすっかりその姿を消してしまっている。
白馬村まで足を延ばすと何ヶ所かにカタクリの群生地がある。その一つが鹿島槍ヶ岳スキー場や貞麟寺(ていりんじ)の境内で、ここにはギフチョウ
も姿を見せるので、新緑のシーズンになると、野草ファンだけでなくギフチョウを追うカメラマンも訪れる。
我が家から中央高速を使って松本の先の豊科インターへ、そこから安曇野、大町を経由して雄大なアルプスを見ながら走ることおよそ2時間半。訪ねてみると、
カタクリの花は咲いていたがギフチョウの数が少なく、残念ながら思っていたような写真を撮ることが出来なかった。
結局、カタクリに止まったギフチョウの姿を撮影
するまで、最初に訪れた5月11日から4回に渡って訪ねることとなった。走った距離は合計1000キロ。それだけに念願の写真が撮れたときの喜びは大きかった。
今回は最初の2回の訪問時に撮影した白馬村とその近隣の景観と春の草花、野鳥の写真を掲載させて頂いた。標高1200mの北アルプス山麓の「新緑の候」を堪能頂きたい。