室堂平散策
扇沢からトロリーバス、ケーブルカー、ロープウエイと次々と乗り継いでおよそ2時間で目的地・室堂駅に到着。乗り物に乗っている時間は40分ほどだが、途中で散策したり、乗り換え時間があったりしたため少々時間がかかってしまった。
高温続きの日本列島であるが、標高2450mの「室堂平」は爽やかな風が吹いてなんともすがすがし。照る日差しは真夏のそれだが、肌で感じる気候は秋のような心地よさである。八ヶ岳山麓に住んでいる私がそう感じるのだから、東京や大阪などからやって来た人にとっては、さぞかし快適に
違いない。
驚いたのは駅を出た瞬間、目に飛び込んできた立山連峰の山々にまだ雪が残っていることであった。駅から5〜6分歩いたところに「みくりが池」がある。その周囲にはまだ残雪がかなり厚く積もっており、濃紺色の池となんとも強烈なコントラストを見せている。その背景に立つ山の沢にもまだかなりの雪が残っている。
室堂平を離れて、3000mの剱岳(つるぎだけ)が展望できる天狗平に向かう。途中、何ヶ所か雪を踏みつけて渡る場所に遭遇。恐らく1ヶ月前に来ていたら雪の上を歩くことの方が多かったに違いない。
天狗平からさらに進むと有料道路の彼方に変わった名前の「ソーメン滝」が見えてきた。
130mの落差を、ソーメンのように白くて細い水の筋が岩肌を流れ落ちる様から、名付けられた滝である。
その上流には「地獄谷」があり、下流には称名滝(しょうみょうだき)がある。ソーメン滝はまたの名を赦免(しゃめん)滝ともよばれている。上方にある地獄谷で数々の責め苦にさいなまれた亡者が、紺屋川を流れ下ってきて、ここで赦免されるという伝説から付けられた名前である。
遊歩道の脇には高原ならではの草花が咲いており、目を和ませてくれる。チングルマやハクサンイチゲ、それにコイワカガミなど可憐な花たちである。驚いたのは地面を這うように茂っているハイマツの赤い実であった。
マツにこんな大きな赤い実がみのるとは知らなかった。
今回は残念ながら雷鳥に遭遇できなかったが、また晩秋か早春に訪ねて、白い羽根に衣装替えした「神の鳥」の姿を見てみたいと思っている。