この1年間、 ウクライナや中東を巡る欧米とロシアとの対立について伝えて来たが、年末の今日は、アジアにおける軍事的衝突の高まりについて触れることになった。 数日前から
中国海軍の空母遼寧(りょうねい)が中国海域を離れ、25日には、沖縄と宮古島の間を通過し、初めて太平洋に進出。 その後、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通過して現在南シナ海を航行中だ。
空母遼寧は中国がソビエトで設計された航空母艦「ヴァリャーグ」の未完成の艦体を入手し、航空母艦として完成させたもので、昨年辺りからその存在が
マスコミに取りざたされ、南シナ海に面したアジア諸国や我が国にとって脅威となり始めていた。
その空母が今回は5隻の艦船と航空機を伴い、中国沿岸を離れて太平洋へと出航したのである。 なにゆえ年の瀬を迎えて、
こうした動きが始まったのかという点について、シンガポールCMAテレビは、米国のトランプ次期大統領が台湾の蔡英文(さいえいぶん)総統と電話会談をし、その後中国一国論について、自分にはなにゆえそれを認めなければならないか分からない、と語ったことに反発し
たもので、中国海軍の戦闘能力の強さを誇示する狙いがあるのではないかと伝えている。
中国海軍と言えば、先日「
自滅に向かう中国」に記したように、南シナ海で米国の無人潜水機を奪う事件が発生したばかりである。 無人潜水機はその後米国に返還されたようであるが、今回の5隻の艦船を引き連れての空母遼寧の太平洋と南シナ海への出航は、米国への牽制と同時に、日本や南アジア各国
に対する戦闘能力の誇示であることは間違いなさそうだ。
これから1年以内に、中国は2隻目の国産の空母を持つことになるようなので、国際裁判所の判決など何するものぞとばかり、建造した南シナ海の7つの島を
さらに軍事的に増強しながら、
これから先、ますます我が物顔で振る舞うことになりそうである。
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空母から我が国に向かって戦闘機が飛び立つ日も遠くないかもしれない
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インド、弾道ミサイル発射に成功
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インド空軍、弾道ミサイル「アグニ5」の発射実験に成功
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中国が、一段と軍事力の誇示を展開する一方で、アジアの大国、間もなく中国の14億の人口を上回ろうとしているインドでもまた、同様な動きが始まっている。
インド国防省は26日、核弾頭を搭載でき、中国全土を射程に収める射程5500〜5800キロの長距離弾道ミサイル「アグニ5」の4回目の発射実験に成功したことを発表。
「アグニ5」は長さが16メートル、重さ50トン。 あらゆる天候で発射が可能で、異なる目標を攻撃できる「各個誘導多核弾頭」の技術を採用しており、最大1・5トンまでの核弾頭を搭載することが可能だという。 インドはさらに性能を強化し、射程が6000〜8000キロとされる新型ミサイル「アグニ6」の開発も進めて来年には完成しそうだ。
射程距離6000キロと言うことは、かねてから争議を起こしているパキスタンや中国の中心部に打ち込むことが出来るわけで、両国にとってはまさに脅威である。 「アグニ5」は弾道が軌道に乗った後は、追尾システムにも
簡単に発見されない能力を持っているようなので、一端発射されたら、中国もパキスタンも完全にお手上げであることは間違いなさそうである。
インドと中国、パキスタン両国との関係は、現在は特段の大きな問題は生じてはいないものの、核保有国でもあるパキスタンとの国境の領有権争いは現在もなお続いており、先般もいざこざが起きたばかりである。 また中国海軍がこれから先、南シナ海からインド洋へと進出をするようなことになったら、中国との紛争が発生する可能性
は大である。 それだけに、核爆弾を保持する3国間の関係悪化は人類にとっても脅威である。
今年最後となるとなるかもしれないメッセージが、またまた暗いニュースとなってしまったが、 我が国のマスコミは
このような情勢を真剣に取り上げようとしないだけに、読者におかれては、こうした事実をしっかり頭に入れておいて欲しいものである。
北朝鮮の最近の蛮行などを含めて考えると、もはや核戦争という人類にとって最大の脅威が、いつどこで起きもおかしくない状況になって来ているのである。
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