再選を目指すトランプ大統領と政権奪還を狙うバイデン前副大統領とが激しく争う米国の大統領選挙。3日に行われた開票はほぼ終わっているが、郵便投票の開票が遅れている州もあり、日本時間の5日の11時の時点では、ペンシルベニア、ノースカロライナ、ジョージア、ネバダの4つの州の最終結果が発表されておらず、どちらが当選したかの最終結果はまだ確定していない。
しかし、ウイスコンシン州に続いて注目のミシガン州でもバイデン候補が勝利を確実にして、当選に必要な270票の内253票を獲得して214票のトランプ氏を上回っており、優勢に立っているようである。
最終結果が分かるまでにはもう少し時間が掛かるようだが、問題は結果後の両者の支持者の動きである。一番懸念されるのが、前回記したように接戦でトランプ氏が敗れた場合である。現段階ではどうやらそうした結果になりそうであるが、既に首都ワシントンでは、バイデン氏の優勢を知った市民がお祝いムードで集会していると、黒装束の武装したトランプ支持者の一団が現れてもみ合いとなり、警察が出動する事態が発生している。
また、トランプ大統領も1億人を超した郵便投票の不正を主張し、最高裁判所に訴える意向を示しており、選挙後の混乱の発生は避けられそうもなさそうである。先般、大統領は癌で亡くなった最高裁判所のリベラル派のギンズバーグ判事の後任として保守派のバレット氏を推薦し、就任が確定的になっている。そうなると、最高裁判事の構成は6対3で圧倒的に保守派が占めることになり、共和党のトランプ大統領にとって有利になってくる。トランプ氏はそれを利用しようとしているのだ。
そうした状況を見てみると、トランプ大統領の敗戦が明らかとなった時には、2分された国民の激しい対立の中で暴動などの武力闘争が頻発し、国全体が厳しい状況に向かう可能性が大である。その時一番心配されているのが、選挙前から急激に増加している一般市民による銃の購入である。
今回の銃購入は選挙後に発生する暴動が銃撃戦になることを予想していることは確かで、それゆえに、女性を含む購入者の多くが単に購入しているだけでなく、狙撃場に出向いて狙撃の訓練を受けているのである。
そうした状況下、トランプ大統領が敗北を認めず選挙の無効を訴え続ける事態となった時には、我々日本人には想像もできない事態が発生する可能性は大きそうである。それは米国という国家と国民が持つカルマがもたらす結果でもあるからである。
そしてその先に待ち受けているのは覇権国家・米国の破滅であるが、その過程で我々が目にするのは思わず目を背けたくなるような、残酷で悲惨な光景となりそうである。奇しくも、タイミング的にコロナ禍によって人々の往来が一段と困難な時を迎えているだけに、これから先、米国民が遭遇する可能性の高い社会的混乱と武力を伴った紛争は想像しただけで恐ろしくなってくる。私の予測が的外れであってくれればよいのだが。