選挙から2週間が経過した今もな、未だトランプ氏が敗戦を認めない状況が続いている米国の大統領選挙。我が国のような国に住んでいると、よく理解できないことであるが、米国ではこうした事例は初めてではない。
ブッシュ氏とゴア氏の間で争われた2000年の選挙は、フロリダ州の得票数が極端な小差であったことから、再集計をめぐって連邦最高裁による異例の判断を経て決着したのは、投票日から36日も後のことであった。
世界には、現段階でのバイデン氏の当選結果を覆らないことを願っている国民がいる。それはパレスチナの人々である。トランプ大統領政権下にあったこの4年間、大統領と蜜月関係にあったイスラエルにとって、トランプ氏はエルサレムをイスラエルの首都に認定し、米大使館を移転するなど、最高の支援者であった一方、パレスチナは散々な目にあってきたのである。
現在のイスラエルの地は前にもお話ししたように、もともとパレスチナ人の住む地であった。イスラエル人はそこに武力をもって入植し、先祖伝来の我が地であるがごとく住み着き、今もなお占領地における入植活動を押し進めている。そうした行為は国連や国際社会は認めておらないが、トランプ政権下の米国は容認しているため、そこに住むパレスチナ人は厳しい環境に置かれ続けているのである。
彼らの悲惨な状況を朝日新聞の記者が伝えていた。占領下にあるヨルダン川西岸地区に住むパレスチナの人物は「今月1日朝、出勤すると店のカギがこじ開けられ、商品が散乱していた。防犯カメラにはユダヤ人の入植者4人の男たちが商品のたばこや工具などを車で持ち去る姿が写っていた」「こうしたことはこの1年でもう5回目。イスラエル警察は形ばかりの操作しかしてくれない。これが占領下の現実だ」
また別のパレスナ人は「あの丘の上を見てくれ。最近またユダヤ人の家が増えた。我々の土地だったのに」と恨めしそうに語りながら、「バイデンには、せめて入植地の拡大を止めるようイスラエルに圧力をかけて欲しいものだ」と語っていた。
前回「空爆の悲惨さを語るイエメンの被災者」でお伝えしたように、アラビア半島の南端にあるイエメンの内戦はサウジアラビアとイランの代理戦争と化して、イエメンの人々を悲惨な状況に追い込んでいる。これも又、トランプ政権がサウジアラビアとの友好化関係を強化する一方、イランを敵視し続けていることによってもたらされた惨事である。
バイデン氏の大統領就任によってこうしたパレスチナ人やイエメンの人々の悲惨な状況が少しでも改善出来たらよいのだが。先ずその先駆けとなるのはバイデン大統領によるイランとの国交正常化である。