イギリスと米国を襲うコロナ禍の惨禍
英仏ドーバー海峡封鎖で物流大混乱
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英仏ドーバー海峡トンネルでは何十キロにわたって車両の列 |
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昨日、コロナの変異ウイルスの発生拡大によって、EU諸国など世界各国がイギリスからの物流や人の入国を禁じる措置を取り始めたことをお伝えした。そのため、イギリスとヨーロッパ大陸を結ぶ大動脈である英仏ドーバー海峡トンネルでは何十キロにわたって車両の大渋滞が発生し、道路は駐車場と化してしまっている。これでは、運転手はクリスマス休暇を車の中で過ごすことになりそうである。
イギリスが抱えたもう一つの難問は今年の初めにEUから離脱した後の、両者間の貿易協定を巡る交渉の行き詰まりである
。この点については既にお伝えしているが、協定は来月1日が交渉の期限となって
おり、残された日数はあと10日と迫っているが、今もなお進展が見られないままで時間は刻一刻と迫ってきている。
どうやら、このままでは両者間の関税ゼロなどを柱とする自由貿易協定(FTA)は破棄されることになるため、年明け以降、イギリス経済が混乱に陥ることは
避けられそうになさそうである。
イギリスに工場を持つ日本の自動車メーカーも、貿易協定の破棄によってEU諸国への輸出に10%の関税が掛かるようになったら経営が成り立たなくなるため、イギリスからの撤退をせざるを得なくなってしまいそうである。
どうやら、このままだと年明け早々からイギリスは、変異ウイルスの発生と貿易協定の破棄によって一段と厳しい状況に追い込まれることになりそうである。
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ワクチンの使用許可が下りた国々、我が国は早くて春以降になりそうである。
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一方、栄華を誇ってきた覇権国家・米国も今やコロナ大国と化して来ており、感染者と死者数は増加する一方で、年末までに累計の感染者数は2000万人を突破、死者数も35万人に近づきそうである。
これだけの数に達すると、経済への影響が甚大となり企業の倒産、店舗の閉鎖によって、失業者の急増は避けて通れなくなりそうである。先週、発表された失業保険への新規の申請者数は88万5000人に達しており、夏以降70万台に減少して来ていたが先月末あたりから再び増加傾向を示している点が気になるところである。
この指数は景気の動向に敏感に反応すると言われているだけに、これから先、景気が鈍化する可能性が大きそうだ。こうした失業者を支援するために今年2月に次いで政府の追加経済対策案が間もなく議会を通過することになりそうであるが、その額は9000億ドル(93兆円)、我が国の年間予算に近い額である。
全体としては大変巨大な額であるが、国民一人当たりが受け取る額は600ドル(6万円)で、子供がおられる方は+600ドルとなる。しかし、この額は一時金で継続的な失業保険に対する上乗せ額の週300ドル(3万円)も来年3月までであることを考えると、この支援策では春先までしか持たず、遠からずしてまた新たな支援策が必要となって来そうである。
米国政府の今年の年間予算は4兆7400億ドル(約485兆円)。これに対して春先に実施したコロナ対策費2兆ドル(220兆円)と合わせると今年のコロナ対策費は2兆9000億ドル(約300兆円)と年間予算の60%を超えており、大変が金額である。
この数値を見れば、来年以降、コロナ禍がさらにその勢いを増して倒産や失業者数が増した時、どこまで救済が出来るか不安になってくる。借金大国と化している我が国の人間がよその国のことなど心配している時ではないが、我が国の借金の借入先は国民の預金であるが、米国は他国からの借金であるため、国家破綻に陥る危険度は米国の方が高く心配である。
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月額1300ドル(13万円)の家賃が支払えなくなったと語る女性。
政府の支援が止まったら、また一人路上生活者が増えることになる。
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