昨日で今年の掲載は終える予定であったが、追加記事を記すことにした。
今年の株価の動きを示す上のグラフを見て頂ければお分かりの様に、年初から始まったコロナ禍は年末まで続き感染者と死者の数が増加する中、当然経済は停滞。ところが、昨日大納会が行われた日経平均株価の今年の終値が、異常な高値で終わったからである。
中小企業を中心に営業停止や倒産が始まり、飲食業から宿泊業、建設業に至るまで、その件数は9月以降毎月100件以上に達し、累計では843件となっている。また失業給付金の受給者数は既に70万人を突破している。
こうした状況下、3月に1万6000円台に急落した日経平均は、その後、感染拡大の影響が広がる中で上昇に転じ、終値は2万7586円という30年ぶりの高値で終わっているのである。9カ月間でなんと1万1000円も上昇したことになるのだ。
経済が停滞し世の中に閉塞感が広がる中でのそれとは真逆の株価の動きには、大きな違和感を感じた人は多かったのではなかろうか。株価は経済の先行きや個々の企業の業績を見通して値動きするものであるが、半年たっても10カ月たっても終息の見通しが一向に立たないばかりか、感染者数と死者の数が増し多くの企業が厳し状況下にある中での上昇は、どう見ても異常である。
こうした異常な株価推移の一番の要因は、3月に日銀が行った記録的な金融緩和、つまり市場への金のバラマキ策であった。黒田総裁は記者会見の席で、「必要があれば躊躇なく、これから先も追加的な金融緩和措置(金のバラマキ)を行う方針である」と、発表していた。
この異例な金融緩和策にさらに追い風となったのは、年末から始まったワクチン接種によるコロナ禍の終焉への期待であった。しかし、このまま値上がりが続くようなら、来年の夏場頃にそうした期待感が先行し過ぎていたことに気づくことになった時には、大きな反動が発生することになるのではなかろうか。
いずれにしろ、「素人」は現在の狂気の株式市場には手を出さないことである。気づいた時には全ての軍資金は消えているばかりか、信用取引などしていおられる方は、借金の山が築かれていることになるかもしれないからである。
日常生活を送っていく上でおカネは必要であるが、欲に目がくらんだカネは「魔物」となる。そして、この「魔のカネ」に対する執着心は「魔力」と化して、3次元世界を旅立つ時に足を引っ張ることとなるだけに、くれぐれもご用心のほどを。