八ヶ岳山麓にもようやく春の兆し。 東京や福岡では桜が満開のようだが、この辺りは今ちょうど梅の花が見頃。 桜はもう2週間ほど後になる。 自宅の庭や徳乃蔵の周囲を見て歩くと、うっかりすると踏んでしまいそうな小さな花が咲いている。
花畑で咲き誇る草花もよいが、雑草の中に精一杯花弁を広げた可憐な花を目にすると、特別の艶やかさはないが心が癒される。
「オオイヌノフグリ
」も「イヌナズナ」も「ボケ」もみな1センチ前後の極めて小さな花である。 恐らく徳乃蔵に来られても気づかずに帰られてしまう方が多いに違いない。 次に来られた時には、駐車場の草むらの中を注意深く見てもらえれば、目にすることが出来るはずだ。
腰を下ろしてかがみ込んで見れば、10センチ足らず背丈の可憐な花が愛おしく感じられることだろう。 オオイヌノフグリ
をアップで撮ると、目と花と口を揃えたコビトの顔のように見える。 因みに、イヌナズナの異名は「ぺんぺん草」
。 指先で花を擦るとペンペンと音がすることからつけられた名前であるが、その名を聞くと子供の頃を懐かしく思い出す人も多いのではなかろうか。
この季節、家のまわりの土手や裏庭には、花というより食料となる「ツクシ」や「フキノトウ」が採取の時期を迎えている。 野草で美味しいのは春はフキノトウ、秋はワラビ。 ワラビに卵を落とした煮物は私の好物。 フキノトウは苦
(にが)み走った独特の味が日本酒にはぴったり。 久しぶりに熱燗で一杯やりたくなってきた。