インカ時代の首都・クスコからアンデス山脈を越えると、そこには広大な熱帯雨霧林「マヌー国立公園」が広がっている。ユネスコの世界遺産にも登録されたこの国立公園は、マヌー川流域の標高300メートルの低地から、4000メートルのアンデス山脈まで、実に3700メートルの高低差の中にある。
この大きな高低差が生み出した生態系の中に、鳥類850種、哺乳類100種、植物5000種類もの貴重な動植物が生息している。しかし、これらの動植物も近年の無制限な焼き畑農業や森林の伐採によって、日に日にその姿を消し始めている。
インカの遺跡探索や学校建設で高地のアンデス山中や低地のジャングルを訪ね歩く内に、マヌー川流域に生息する鳥獣たちの姿に興味をひかれ、アマゾン川源流域へと入っていくようになった。
あれから足かけ5年、3回の訪問で撮影した鳥獣や蝶、珍しい草花などの数は、いつの間にかかなりの数に達した。
その中には今となっては撮影はおろか、姿さえ見ることの出来なくなったものも幾つか出てきている。 そうした貴重な写真を見て頂
き、一人でも多くの方に自然保護の必要性を身近なものとして実感して頂くことができたらと考え出版したのが、写真集『最後の楽園・PERU』
であった。
写真展は一昨年から3回に分けて展示してきたが、今回はその最終回である。
上段のシロゴイサギをはじめ多くの野鳥や動物たちの写真は、他では見ることが出来ないはずである。 是非ご来館されて大型サイズの迫力ある写真で、ゆっくりとアマゾン源流の自然を堪能して頂ければと思っている。