新緑に覆われた八ヶ岳山麓、その目にも鮮やかな新緑を味わうには、カラマツの森の中に入るのが一番。 しかし、その新緑の姿を内側から写真に収め
ようとするには、一定の空間が必要だ。 それに最適な場が木々の中に作られた火防線である。
火防線は今から60年ほど前、山火事が多発した折りに延焼を防ぐために作られたものである。
南北に3本作られており、今もそれが維持されている。 一方、東西の火防線は武田信玄が信州(長野)を治めるために作った棒道と呼ばれる道が、その役目を果たしている。
こうして昔の人達は森林を守り木々を大切にしてきたのである。 ところが今はどうだ、太陽光発電のパネルを張り巡らすために、広大な面積を伐採している。 地球環境を守るためと称して、自然を破壊しているのだから話にならない。 要はみなカネを得んがためである。
火防線の場所は地元の人間でないと分かりにくが、そこは20メートルほどの幅で防火のための空間が作られている。 そのため、そこには太陽光線が当たる
ので、「ヒトリシズカ」や「ヤブレガサ」といった山野草が咲いている。
火防線を歩いて目につくのは大小様々な石、これらはかって八ヶ岳が噴火した際に火口から飛んできたもの。 いつかまたそんな情景が再現されることになるのだろうが、その時は地球がサラス(悲しみの星)からアルス(喜びの星)に生まれ変わる時。
火防線がその役割を終える時でもある。
下に掲載した少女の詩は前回記した「天使の願い」に載っている詩である。 そこには、地球から森が無くなってきていることを憂う気持ちが記されている。 森の木々は減少して林になり、林の木々も減って木立ちになって来ているのに、大人はそれに気づかずにいることを悲しんでいるのだ。
世界に目を転じると、広大なアマゾンの熱帯雨林はいま、驚くほどの勢いで減少している。 少女はカネに目がくらんだ愚かな人間たちによって、地球を育む森
や林が次々と姿を消していく惨状を憂えているのだ。