我が家から長野県の白樺湖に向かっていく途中に、北八ヶ岳ロープウエイの乗り場がある。 家からの所要時間はおよそ40分。 標高1771メートルの出発駅からおよそ7分ほどロープウエイに乗ると、八ヶ岳の北横岳への登り口になる
、標高2237メートルの「坪庭」と呼ばれている高台に着く。
「坪庭
」と言っても、日本庭園などで言われるところの人工の坪庭と違って、そこは八ヶ岳の最後の噴火で出来た溶岩台地で、地形の形がすり鉢状になっていることから名付けられた、まさに自然が作り出した巨大な庭園である。
一周するのに約30分。 周囲には5月から8月にかけて高山植物が開花し、6月下旬から7月上旬には「シナノオトギリソウ」や「コイワカガミ」など多くの花々を楽しむことが出来る。 冬場はスキーやスノーボード場としても楽しめるが、白雪に覆われた八ヶ岳
や南アルプス、中央アルプス、北アルプスの「日本三大アルプス」の大パノラマの展望は見応えがある。
山頂のすぐ近くに横たわる山は「縞枯山」(しまかれやま)。 この山は上段と下の2枚の写真を見てもらえれば分かるように、山の斜面が縞(しま)状に枯れる「縞枯れ現象」で覆われている。 この珍しい縞枯れ現象は本州中部ではこの北八ヶ岳が最も有名で、学術的にも大変貴重なものとして注目されている。
この「縞枯れ現象」は、このエリア一帯の土壌の影響で縞(帯)状に枯木帯が発生するもので、年々場所をすこしづつ移動しているようである。 日照不足や混成が原因で枯れてゆく木もあるが、それらに対して人為的な伐採や手入れなどは一切行っておらず、全て自然のサイクルによるものだという。 それにしても、長い年月をかけてその帯の位置が少しずつ移動していくというのは不思議な現象である。